揺るがない「信念」
年度末。日本政府はWBC優勝などでわく世論の「関心」を、引き続き拉致問題と総連組織に向けさせようとしたのか。23日、警視庁公安部は大阪府商工会など6カ所を「拉致問題の全容解明」と称して強制捜索した。
今回の強制捜索は、 総連組織を根底から潰そうとするための「拉致」というカードを使った政治的弾圧で、情報収集も兼ねていた。
マスコミに情報をリークし、映像先行で報道を垂れ流す。 総連傘下の団体があたかも拉致と関連があるかのように見せる。このような報道によって、総連傘下組織にはまったく嘘のイメージが簡単に植え付けられた。在日同胞の権利擁護のため、日夜、一生懸命に働く当事者らにしてみればたまったものではない。
日本政府は、4月から警察庁に「拉致問題対策室」なる特別チームを20人体制で始動させるという。さらには「キャンペーン」のひとつとして、「拉致」問題に対する統一世論形成のためのポスター、パンフレット作成に着手する。
不当な言いがかり、在日同胞はこんなとき、どのように対処すればよいのか。
各地の知り合いの活動家たちに、今回の事件についての意見を求めた。それをまとめると、一つは報道を鵜呑みにする同胞がいるという事実、もう一つは政府、警察と一体になった報道の本質を見抜き、いっさいのぶれがない同胞がいるという事実。その比率がどれくらいのものになるのかについてはわからないが、後者が過半数であったと話していた。
これまで在日同胞は、それぞれがそれぞれの立場と信念を堅持し、たとえどんなことがあろうとも、 総連組織を守り権利獲得などのために闘ってきた。
1世たちが血と汗と涙で守りぬいた組織、民族心は、2、3世に脈々と受け継がれている。だから、どういう状況になろうともその「信念」は揺るがないだろう。(東)
[朝鮮新報 2006.3.28]