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同胞法律・生活センター連続講座2006 第1回 外国人の雇用と在留資格

 NPO法人同胞法律・生活センター主催の連続講座2006「在日コリアンのための『これは知っ得! 暮らしのなかの法律』」の第一回目が2月25日、東京都台東区の同センターで行われた。テーマは「雇用と在留資格」。同センター副所長の韓鐘哲さん(社会保険労務士、行政書士、年金アドバイザー、ファイナンシャルプランナー)が雇用の際の注意点などについて実例を挙げながら解説した。

「知らなかった」はダメ

 来日する外国人が増加しているなか、南朝鮮や中国から来日したニューカマーの同胞を雇用する同胞自営業者も増えている。その際、雇用や在留資格に関する法律を知らないままでいると、雇用者が思わぬところで「不法就労助長罪」などの罪に問われるという事態も起こりうる。

 不法就労外国人(不法入国者、在留資格に記載されている範囲を超えた就労や在留期間を過ぎてから就労を行った者)を雇用した事業主は、入管法(出入国管理及び難民認定法)第73条の2により3年以下の懲役または300万円以下の罰金、または併科に処せられる。不法入国者に対する取り締りが強化されるなか、2年前に罰則が強化され、行政罰としては最高となったという。 

 韓さんによると「法律を知らなかった」からといって罪を免れることはできない。まず注意すべきは、雇い入れる際に旅券、外国人登録証、就労資格証明書で在留資格と在留期間などを確認し、就労可能かどうかを確認することだ。

在留資格、期間の確認を

 可能な就労活動の範囲は在留資格ごとに定められている(別表参照)。

 「留学」「就学」「家族滞在」は原則として就労が認められていないが、資格外活動許可を得ることで可能な場合がある。「留学」「家族滞在」は原則として一週28時間まで、「就学」は一日4時間までと定められているので、超えないように管理しなければならない。

 在留期間はそれぞれに規定されているが、「外交」「公用」「永住者」以外はすべて3年以内となっており、定められた期間を過ぎる場合は更新の申請が必要だ。

 外国人登録は、来日した外国人が90日以上滞在する場合に必要だ。注意すべきは、外国人登録証明書を持っていたからといってそれだけで雇用が可能だと判断してはいけない。不法滞在の外国人も外国人登録が義務付けられており、証明書を持っている場合があるからだ。

労働関係法令も適用

 雇用中は法令遵守に気を配らなければならない。日本国内で働くかぎり「国籍、在留資格の点で適法な就労か違法な就労かを問わず、原則として労働基準法、労働者災害補償保険法、労働安全衛生法、雇用保険法、最低賃金法などの労働関係法令が適用され、健康保険などの社会保険も適用される」という。

 飲食店を数店経営するある会社は、アルバイトで雇用していた外国人労働者の労働時間(毎月平均120時間)が多いことを社会保険事務所に指摘され、社会保険加入もれに該当する外国人労働者約30人の「さかのぼり適用」およびそれに伴う保険料を追加徴収されたという。

 不法滞在の外国人についての取り締まりが強化されている昨今、「外国人を雇う経営者は常に勉強しなければならない」と韓さんは強調する。「知らずにいるとあとで多大な損害を被ることになる。会社の信用を失い経営が続けられなくなることもありうる」と指摘する。(李泰鎬記者)

「在留の資格」の種類

就労が認められている「在留の資格」
就労活動が具体的に特定
されるもの
活動に制約が無く
就労活動について
特定されないもの
「外交」、「公用」、「教授」、
「芸術」、「宗教」、「報道」、
「投資、経営」、「法律、会計業務」、
「医療」、「研究」、「教育」、「技術」、
「人文知識、国際業務」、
「企業内転勤」、「興行」、「技能」
「永住者」、「日本人の配偶者等」、
「永住者の配偶者等」、「定住者」、

「特別永住者」
(入管特例法に基づく在留の資格)

就労の可否は個別に指定される活動に
よるもの
「特定活動」
就労が認められていない「在留の資格」
「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「就学」、「研修」、「家族滞在」
(ただし、資格外活動の許可により就労が認められる場合があります。)

[朝鮮新報 2006.3.1]