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在日朝鮮人歴史研究所設立から1年5カ月 記念出版物発行、5000余の資料集める 資料収集に力注ぐ

 在日朝鮮人歴史研究所が設立されてから1年5カ月が経った。この間、同研究所ではさまざまな困難の中でも大きく4つの成果をあげた。活動を通じて得た成果と今後の課題についてまとめた。

朝聯当時の新聞など発見

研究所が収集した貴重な資料の一部

 研究所が収めた成果としてまずあげられるのは、祖国解放60周年と総連結成50周年を迎えた昨年、50回にわたって解説記事を朝鮮新報に連載すると共に総連中央からの委任を受け、便覧「総連」(朝鮮語版、日本語版)と写真集「総連の誇りある道のり」を編集、出版したことだ。

 これらの書籍は発行以来、総連の各組織と活動家はもちろん、朝鮮と海外同胞組織、ひいては日本人士の間でも活用されている。

 次に、在日朝鮮人運動と総連事業に関する貴重な歴史的資料を積極的に収集したことがあげられる。

 長い年月が経ち、内外の反動による弾圧が繰り返されたうえに、在日朝鮮人運動を一線で開拓してきた1、2世の活動家と同胞らの多くがこの世を去り、組織的な資料管理がままならなかったことから、当然あるべき貴重な資料の多くが入手不能となった。

研究所では今後も資料収集に多くの力を注いでいく計画だ

 しかしこの間、この事業に深い関心と理解を持つ人々の支援により、この1年半の間に5000余に上る各種文件、書籍や多くの写真、ポスターなどの資料を収集する成果を収めた。

 たとえば、在日本朝鮮人聯盟(朝聯)中央本部の機関紙である「朝聯会報」と「朝聯時報」の一部を見つけ出したほか、1947年8月15日に発行された「朝聯中央時報」創刊号から135号までも入手した。

 また、当時の地方紙である朝聯東京、朝聯大阪、朝聯神奈川、朝聯広島、朝聯新潟の各時報、「朝鮮人生活擁護委員会ニュース」や「朝鮮商工時報」「朝鮮経済時報」「女盟時報」や、雑誌「青年会議」「学同時報」と各種文芸雑誌などもすべてではないが、新たに見つけ出した。「4.24阪神教育闘争」当時の一部資料も入手した。

 海外で大学教授をしている人が、長年大切に保管していたという1945年10月15日号「民衆新聞」の特集号(複写資料)も入手できた。

 この「民衆新聞」特集号は、1945年10月15日、解放直後、初の愛国愛族組織だった在日本朝鮮人聯盟結成大会(日比谷公会堂)の2日目の大会(両国公会堂)の時に場内にまかれ大きな反響を呼んだ新聞のひとつだ。

 一方、総連映画製作所が解放直後からこんにちにいたる在日朝鮮人運動と総連の活動を撮影し保存、管理している数百巻に上る「朝聯ニュース」をはじめとする各種の「記録フィルム」は、まさに「国宝」的な価値を持つ資料であり私たちの貴重な財産である。

 研究所が収めた成果として次にあげられるのは、在日朝鮮人運動、総連事業発展のために一生を捧げてきたベテラン活動家の「証言」を収集する活動を推進してきたことで、現在までにおよそ20余人からの証言を集めた。

 最後に、各組織と学校での「沿革資料」と歴史記録作成など、在日の歴史を同胞と後代に伝えるための活動を促したことがあげられる。

 昨年だけでも、在日本朝鮮人体育連合会が結成50周年に際して「在日本朝鮮人体育連合会50年沿革史」を、大阪朝鮮学園が「大阪民族教育60年誌」を発行したほか、他の多くの機関で記念出版物を発行した。

運動の理論化に寄与

 研究所では今年度の事業計画として当面、研究所の質的な体制をさらに整えることに力を注ぎながら、3つの事業に取り組んでいく計画だ。

 第1に、歴史資料の収集事業をさらに拡大することだ。

 具体的には、資料提供者に謝礼を出すなど、あらゆる手段と方法で必要な資料を最大限収集していくと共に、総連中央資料室、朝鮮大学校図書館、朝鮮新報社をはじめ、出版機関の資料室とも積極的に協力関係を築いていく計画だ。

 第2に、在日朝鮮人歴史研究所で収集した資料に基づいた研究を深め、在日朝鮮人運動の理論化に寄与することだ。

 研究所では時宜にかなったテーマで「研究会」を適宜に開き、研究を深化させ執筆事業も続けながら、朝鮮の研究者、組織内の社会科学者との連携も深めていく。

 第3に、今後在日朝鮮人運動に関する「証言」を地方からも集めることだ。

 研究所の呉亨鎮所長は、研究所の活動が紹介されてから多くの人々が研究所に訪ねてきて激励の言葉をかけてくれたほか、130余人の各階層の活動家や学者、文化人、一部日本の人々も資料提供と「証言」などで支援してくれたこと、資料を整理、保管するために必要な機材を寄付してくれた人がいたことなどに触れながら、次のように語った。

 「これからも、組織と同胞社会、特に後代のためになる在日朝鮮人歴史研究所事業に多くの関心を持って物心両面で支援してくれることを望んでいる。これからもがんばって、期待に応えていきたい」

在日朝鮮人歴史研究所の呉亨鎮所長に聞く 在日朝鮮人の歴史資料の収集事業をさらに拡大

[朝鮮新報 2006.2.25]