朝鮮学校をモデルに |
「うちの子は幼稚園の頃から電車で1〜2時間かけてウリハッキョに通いました」−朝鮮学校に子を通わせたあるオモニの言葉だ。 朝鮮学校ではよく聞かれる話で、自分の周りにもいた。子どもの頃は気づかなかったが、「今日も無事に帰って来てね」と願う親の心情を思うと胸が詰まる。 最近では新幹線を利用しなくてはならない生徒もいるというが、親の心配はつきない。帰宅が少しでも遅れると、いてもたってもいられず、子どもが何時に学校を出たのかと問い合わせるオモニもいるそうだ。 とくに朝鮮や総聯に対するバッシングで生徒たちがチマ・チョゴリを切られたり、暴言を吐かれたりする事件が頻発したときは気が気でなかったことだろう。 それでも毎日笑顔で見送らなければならない。寄宿舎に子どもを入れるときもつらいが、毎日遠距離通学させるのもつらいことだ。 近頃、日本学校でのスクールバス導入が話題になっている。新聞でも導入拡大を求める記事や投稿が見られる。小学生や小さい子どもを狙った誘拐、殺人事件、登下校時の交通事故の多発や、過疎地での学校統廃合による通学時間の増加などが背景にある。 昨年12月、「犯罪から子どもを守るための関係省庁連絡会議」が開かれた。緊急対策として、学校安全ボランティアの充実、路線バスをスクールバスとして活用することなどが挙げられた。小坂憲次・文部科学大臣はスクールバスの運行や費用などについてモデル的に調査したいと述べた。 モデルならごろごろしている。朝鮮学校は日本の国庫からびた一文補助を受けずに、同胞や学父母、教職員の力だけでスクールバスを走らせてきた。まさにうってつけのモデルだ。 登下校時に事件や事故に巻き込まれるのは日本人だけではない。文科省はこういう分野から差別是正に取り組んでみてはどうか。(泰) [朝鮮新報 2006.1.24] |