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「千里の道も一歩から」

 最近、職場が変わった。慣れない仕事に少々とまどっている。それは50歳を過ぎてなんと、パソコンと向き合うことになったからだ。

 今時の若者に言わせるとパソコンを使えるのは常識だそうだが、IT機器に弱いアナログ世代の私としては頭を抱える毎日だ。この歳で仕事が変わるのはかなり辛いことだが、友人に言わせると逆にその歳で仕事が見つかる方がうらやましいと言う。それもそうかと納得。

 しかし、今回は元気印の私もことのほかペースが乱れっぱなしである。早く覚えねばと気持ちばかりが焦り思うようにいかず、時間ばかりが過ぎていく。

 もちろん全てが辛いことばかりでもないのだが。

 以前の職場は一人で過ごす時間が多かったが、新しい職場は若者から年配まで多くの人が集まりにぎやかだ。

 常に新しいことにチャレンジするのは、困難を伴うが、達成感もある。難しいし、ややこしいと言いながら少しでもうまくいくとつい顔がほころぶ。職場の人たちの気づかいもありがたい。家でパソコンを占領し、質問攻めの私に文句も言わずに付き合ってくれる家族の応援にも感謝しなければ。

 職場をはじめ多くの人たちの助けがあっての再出発だ。がんばらないわけにはいかない。夢にまで出てきて私を悩ませるパソコン。「千里の道も一歩から」。今はこの言葉が支えとなっている。

 今日の一歩が明日の二歩につながると信じて、ともかく歩みを止めずに進もう。努力という「杖」を友にして。(李清淑、会社員)

[朝鮮新報 2005.11.27]