「わが家の9.17」 |
9月17日は長女の誕生日だ。 しかし、3年前のこの日は、忘れようにも忘れられない日となった。長女の誕生日と、もしかしたら、朝・日国交正常化の記念日が重なるのではないかと、朝から小泉首相の訪朝のもようを固唾を飲んで見守った。 発表された「9.17平壌宣言」によって、紆余曲折があるにせよ、朝鮮と日本の国交正常化が実現し、東アジアの平和と安全が保障され、在日コリアン社会にとっても生活や人権、諸権利が守られ、明るい未来が開かれるはずであった。 しかし、日本のメディアの伝える「拉致」という思いがけない2文字によって、国交正常化への期待と高揚感は、すでにその日の夕方にはかき消され、吹っ飛んでしまった。 その日の娘の誕生日の宴が、沈痛なものとなったのは言うまでもない。 思えば、あれから3年経った今でも、日本ではずっとこういう状況が続いてきた。 朝・日関係は最悪の状態に陥り、日本のメディアによる反朝鮮キャンペーンが飽くことなく続けられている。 拉致家族の方々の悲痛は、強制連行や強制労働という悲惨な体験をした在日同胞こそ、その苦痛を最も共有できる立場にある。だからこそ、あくまでも対話と協議によって国交正常化交渉が進み、過去の問題をきちんと清算される中で、この問題も解決されるべきだと確信している。9.17がわが家にとっても、東アジアの平和と和解にとってもすばらしい記念日となるように、願っている。(鄭蓮姫、朝鮮家庭料理店主) [朝鮮新報 2005.9.25] |