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「ウリマル砂漠」の旅人

 お尻に火がつくと言う言葉があるが、私は火がついて焦げかかってやっと動き出す性格だ。

 そのせいでたびたび大変な思いをしているのにいまだに懲りない。子どもたちには何事もきちんと計画をたて、前もってやりなさいと言いながら、言っている本人が今回も痛い思いをしている最中。

 数日後に、ある語学試験を控えている。自分なりに試験前日までの勉強計画を立て資料もそろえ、常に気に留めていたものの仕事や家事に気を取られ、気づくと試験は目前である。語学では唯一の国家試験、通常準備期間1年〜3年、合格率平均10%以下と言う超難関。やっと本腰を入れて本を開けば些細な所で躓き、気持ちばかりが焦る。

 日本で生まれ育って民族教育を受け、自分なりに「朝鮮語、ウリマル」を一生懸命勉強してきたつもりだったが、学べば学ぶほどその奥は深く、まるで「ウリマルの砂漠」で道標を失った旅人のような気分で、まったく情けない。

 しかし、ここで諦める訳にはいかない。一生ウリマルと関わって行きたいと言う目標があるからだ。

 夢を追うのに年齢制限はないはず。ある新聞で80歳を過ぎて大学で学んでいる老人の記事を読んだ。

 老人曰く、学ぶことに歳は関係ない、気持ちがあれば幾つになっても可能だと。試験は目標への通過点、まだ50代の入口、時間はたっぷりある。諦めないで前に進むのが一番大事だとわかってはいるのだが…。そろそろ本気を出さないと、お尻が焦げつく前に。(李清淑、会社員)

[朝鮮新報 2005.9.11]