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女3代のソンマッ

 私はオモニやハルモニの食生活を中心に、いろいろな風習や多くの生活パターンなどを見て、学び今日にいたっている。

 オモニやハルモニは近くの野原や山野に行き、ワラビ、ゼンマイ、タンポポ、セリ、ヨモギ、山ブキなど、数えきれない山菜を摘んできてはわが家独特のソンマッ(手の味)で食卓をにぎわせていた。

 ニンニク、とうがらし、ゴマ油、ゴマを基本にした日常の料理、保存食のほとんどを手作りでまかなっていた。私は現在小さなコリアン家庭料理店を営んでいる。その基本はオモニやハルモニから代をついで受けついできた手作りの味。お客様の顔ぶれも在日同胞、韓国、日本の人たちなど多彩である。

 メニューは他店にない独特の山菜料理、各種キムチ、煮込みなど、飲み物は平壌焼酎を筆頭にいろいろ取りそろえている。

 ごく最近、韓国の山菜料理専門家とマスコミの方の取材を受けた。異国の地で女3代、それもおよそ100年という長い間、民族の伝統的な山菜料理が受け継がれてきたことに驚きの表情を見せていた。とりわけ彼らの興味を引いたのは、私がタンポポを摘んで、洗って、あえている姿などで、約2時間にわたって取材を受けた。その専門家は初めて食したタンポポの味に舌鼓を打ちながら、満足げだった。韓国ではタンポポが摘める地域、食する人が限られているということで、タンポポの味には何とも言えぬ民族の情があふれていると感激していた。

 この豊かな食文化を、いかに多くの人たちに伝えていくかが私の課題であろう。(鄭蓮姫、朝鮮料理店主)

[朝鮮新報 2005.7.10]