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オモニたちのキムチ

 葛飾のオモニたちが、ウリハッキョ支援のためのキムチを漬け始めて、20余年が過ぎた。言うは易しで、塩・洗い・ヤンニョム作り・本漬けの3日間の工程を月1回、20年続けるというのは並大抵のことではない。

 朝10時、雨が降ろうが雪が降ろうが、オモニたちは支部会館に集まってくる。白菜を切る人、塩をふる人、生姜とにんにくを刻む人。みな自分の役割を手早くこなし、百`以上の白菜はあっという間に塩漬けされる。

 洗いは交代制。ヤンニョムは20年間、責任者のオモニが一人で作り続けてきた。

 青空の下、思い思いの話題に花を咲かせ、真っ赤なヤンニョムを白菜にもみ込んでいく本漬けは、一番楽しい工程だ。春風や夏の照りつける陽差し、台風、冬の木枯らし。白菜も季節によって巻きも味も変わる。四季折々のキムチ漬けは、都会の真んなかで自然の恵みを実感する豊かなひと時でもある。

 このキムチの収益が、学校施設の修理やバスの購入、教育器材の補充などに役立てられてきた。子供たちの明るい笑顔がオモニたちの励みだ。

 山河が二度も変わる長い歳月。携わる人も少しずつ変わり、60、70代になった中心のオモニたちの志を、若いオモニたちが引き継ごうとしている。

 キムチの味はオモニの手の味。滋味あふれるその味わいは、先人の医食同源の知恵にもまして、オモニたちの手に刻まれた歳月と、思いの深さが醸すものかもしれない。(金蓉子、東京都在住)

[朝鮮新報 2005.6.27]