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「植樹」−宿る祖国の山河への愛

 平壌市中和場里にある「総聯愛国林」を祖国滞在中に訪ねた。

 正直言って、日本語の「愛国」という語感には、少なからぬ抵抗感があって、心にストレートに響く言葉ではなかった。日本生まれの記者にとって、国という概念が1世と違って、明快な実態を伴って迫ってこないことも一因だったのかもしれない。

 しかし、紅葉に染まる祖国の山の散策や「総聯愛国林」の植樹を通して、理屈抜きに祖国の山河への愛情が込み上げてきたのは、不思議だった。

 「愛国林」は、平壌中心部から30分ほどの風光明媚な場所にあって、100ヘクタールほどの規模で造成中。真正面に見える帝麗山のゆるやかな丘陵地には高句麗建国の始祖王である朱蒙を葬った東明王陵の壮大な姿を仰ぎ見ることができる。

 とりわけ王陵は、昨年7月にユネスコ世界遺産に指定されたばかりで、世界各国からの観光客が訪れる場所でもある。

 こうした歴史的にも地理的にも由緒深い地の一角に「総聯愛国林」造成事業が始まったのは、01年。07年までの6年間で29万本(総聯は5万本)を植えて、祖国の山々の緑化に貢献しようというものだ。

 今回一緒に行った総聯女性活動家代表団全員で、朝鮮エゾ松の苗木を植えて、木と一緒に記念写真に収まった。みながニコニコ顔である。

 大阪朝鮮歌舞団団長の趙正心団長は、メンバーたちに「団長の結婚が先か、統一が先か」とからかわれていたが、「この苗木こそ私の子供」と切り返していた。

 平壌はこれから厳冬を迎える。木枯らしも吹くだろう。そんなとき、あの時植えたかわいい苗木の無事と祖国の人々の幸せを祈ろう。(粉)

[朝鮮新報 2005.10.30]