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ドラマ「土地」−民族の尊厳と憤怒込め

 南の女性作家・朴景利の小説「土地」が、KBSの光復60周年記念大河ドラマとして放映され、このほど完結した。

 一言でいえば、朝鮮の近代史に対する根底的な問いかけを含んだ重厚な物語で、見応えがあった。

 原作は1887年から1945年までの約半世紀の両班の家柄・崔参判家の4代にわたる栄枯盛衰を描く。日本の侵略によって、丸ごとすべてを奪われた朝鮮民族の憤怒と嘆きが一貫したテーマになっている。

 ヒロインの「土地」への執着は、父祖伝来の土地を侵し、奪った日帝や親日派、あらゆる邪悪な者たちへの闘いの砦なのだ。血族への情念、故郷への何ものにも代えがたい愛着、そして、どんなに踏み躙られても自我のすべてをかけて自らの尊厳を守り抜こうとする人間としての誇りがヒロインの魅力になっている。 このドラマは、単純な勧善懲悪ではない。時代に翻弄され、転落せざるをえなかった貧しい人々への共感がベースにある。身分差別、女性差別、民族差別に苦しめられる庶民の苦難。そこへの痛みが作家の信念として全編を貫いていて、それぞれのおびただしい登場人物に深い陰影を持たせている。また、あの時代に民族に背き、進んで日帝の手先になった親日分子の末路にも深い洞察力を注ぎ、悪行を容赦なく断罪した。

 この一世紀の間、朝鮮民族を滅亡させようとあがいた日本の醜い姿が、ドラマに浮き彫りにされている。朝鮮民族と国家と個人の運命に立ち塞がり、過酷に抑圧した日帝。

 そこに抵抗し、立ち向かった北南、海外からやってきた朝鮮人が今年、ソウルで開かれた8.15民族大祝典で喜びを分かち合ったのである。(粉)

[朝鮮新報 2005.8.21]