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「女性の生き方」−「汲めども尽きぬ泉」

 いま、発売中の「前夜」夏号で「女たちの生き方を考える本」が特集されていて、おもしろい。

 さまざまな分野で活躍している女性111人が「女性の生き方・経験を考える上で影響を受けた本・3冊」をあげて、アンケートに回答を寄せている。

 女性解放運動の経験と、フェミニズムの理論的探究の蓄積により、フェミニズム・ジェンダーの視点が重要であることが社会的に認識されるようになった。しかし、一方で、男女差別、格差はいまだに解消されておらず、「ジェンダーフリー(性差別意識の解消)」の考え方や実践は苛烈な攻撃にさらされ、女性たちの置かれている状況は厳しさを増している。

 苦難を強いられる女性たちが、怯まず前に進もうとするとき、先駆者たちの歩んだ力強い道のりが勇気と力を与えてくれる泉となる。差別にうちひしがれた人々の声に耳を傾け、その差別に断固と闘った先人の力強い足跡。その汲めども尽きぬ泉に心動かされる女性たちの前向きな言葉が胸を打つ。

 女性史研究家の鈴木裕子さんは、影響を受けた一冊に尹貞玉さんの「平和を希求して−『慰安婦』被害者の尊厳回復への歩み」をあげている。

 「尹先生と出会えたことは生涯のわたくしの喜びである。先生は真に勇気の持ち主で権力には、いささかも怯まず、粘り強く闘われる。

 …今日、慰安婦問題が争点化されたのは、そのような先生の抵抗、勇気そして人間の尊厳回復を追求する信念がバックボーンとしてある」と指摘しながら、この本は「わたくしの宝物」であると称えている。

 他者から勇気と知恵を得ながら進む人のありようが自然に心に染みこんでくる。

 いい本との出会いは、私たちの人生を豊かにしてくれるのだ。(粉)

[朝鮮新報 2005.7.25]