「ハッキョハラボジ」−懐かしい母校に力を |
「生涯現役」の連載を本紙女性欄で続けているが、一世のパワーにはいつも驚かされる。 不可能を可能にする情熱と知恵、何よりもどんなに難しいことでもやり抜こうとするその気迫には脱帽してしまう。 先日校舎の改修工事に取り組む神奈川中高を訪ねた折に、多くの人たちから昨年、87歳で死去された故李在逵同校教育会副会長の名を聞かされた。県下のすべての学校を回り、子供たちが勉強するのに不具合がないのかを常に気にかけていた。 トイレのパイプが腐食して汚水があふれ出たときも誰よりも早く駆けつけて、汚れるのも気にせず、故障を直したという。学校の緑化から子供の遊び場の設置、電気の修理、ありとあらゆることを自らの手でやってのけた。偉ぶらず、常に笑顔を絶やさず、子供たちからは「ハッキョハラボジ」という愛称で呼ばれた。 おそらく、子供たちと李さんの間は実の祖父と孫にも勝るとも劣らぬ深い情愛で結ばれていたのだと思う。身も心もハツキョに捧げた歳月を思うとき厳粛な気持ちになる。 今、学生たちは3、4世たちが大勢を占めるようになった。先生たちも、親たちも代替わりした。しかし、どんなに時代が移り変わってもハッキョの大切さは変わらない。祖国を離れ、異国で暮らす子供たちに民族教育の深い根を張りめぐらし、言葉や歴史、風習を教え、豊かな人間性を育んでくれる学校。 今年から来年にかけて、55年や60年といった創立記念祭が相次ぐ。卒業してもいつまでも懐かしい母校。神奈川はじめ各学校の補修工事に多くの人たちの衆知と力を集めよう。(粉) [朝鮮新報 2005.6.27] |