邑久光明園−「痛みわかちあおう」 |
先日、岡山県・長島のハンセン病療養所、邑久光明園を訪れた。260人の入所者のうち約3割は同胞だという。「貧困病」とも呼ばれるハンセン病患者の数は、植民地時代に強制連行された朝鮮人の生活苦を如実に反映している。彼、彼女らは、療養所内では朝鮮人として、同胞社会からはハンセン病患者として差別を受けてきた。 今回、光明園を訪れた近畿地方の朝鮮歌舞団では、ハンセン病患者の闘いについて学習会を開いた。若い団員たちのほとんどが学習会を通じてはじめてハンセン病を知ったという。「元患者たちに私たちの公演を通じて喜びを与えたい」というのが団員たちの声。 この日も若い団員たちは入所者のすぐそばで彼・彼女らに寄り添い、手を握り、背中をトントンと叩きながらリズムを取るなどして温かく接していた。3年前の歌舞団初演以前は、入所者の中で自ら朝鮮人であることを明かす者はいなかったという。しかし、この日は団員たちと朝鮮語で話し、「アリラン」を共に歌う人は少なくなかった。 兵庫朝鮮歌舞団の徐絹姫さん(19)は、「ここに来てからずっと胸が痛かった。日本社会で差別を受けた同胞たちから、また差別されてきた方たち。今は療養所から出られるのに出ないと言う。公演を見て手を振り、体を揺らす姿を見て、体は不自由でも心は私たちよりもっと踊りたいんだと思った。これからも同胞に寄り添った公演を続けて行きたい」と涙を浮かべて話していた。 同胞入所者の平均年齢は80歳。痛みを分かち合い、共にふれあう中で、差別の連鎖を断ち切る弛みない努力と行動を痛感した。(潤) [朝鮮新報 2005.4.4] |