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最近読んだ小説の中にこんなエピソードが紹介されていた−人間は生涯で3つのものを求める。即ち財産、権力、名誉である。だが、3つ全てを得ようとすれば、必ず1つは逃してしまう。1つを逃してしまえば人生のすべてを逃してしまう−およそそんな内容の話だったが、この「落ち」はすべてを求めようとするのではなく、1つでも得られたら満足せよということだ。1つも得られないでいる筆者のような人間には、この中の1つでも持っている人がうらやましいかぎりだが ▼この話から得られることは、何もかも一人で独占しようとせず平等に分配した方が、結局は自分に返ってくるということ。金をたくさん儲ける人は金をたくさん使う人という話も聞く ▼多少強引かもしれないが、この話を国に置き換えてみるとどうなるか。財産、権力、名誉のすべてを独占しようとしている国と言えば、おわかりの読者も多いだろう。しかし、その国のみが潤うためにどれだけの国々、人々が貧困にあえいでいるか。戦争を起こされ、どれだけの罪のない人々が犠牲になっているか ▼ただ、この国は、財産と権力は得たかもしれないが、残念ながら名誉は得られないでいる。なぜなら、自国の利益しか考えない理不尽な振る舞いに少なからぬ世界の人たちが「ノー」を突きつけているからだ ▼世の中の指導者たち、とくに先進国の指導者たちが、「富」は平等に分配されるべきだという気持ちになれば、世界の貧困はもっと解消されるのではないだろうか。来年こそは。年の瀬、そんな夢を描いてみる。(聖) [朝鮮新報 2005.12.24] |