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今年1年間の朝米核問題の資料を繰って見ながら、2月、朝鮮外務省の「6者会談参加無期限延期」「核兵器庫増加」声明によって事態が大きく動いたことにあらためて思いが至った ▼7〜8月、そして9月の2ラウンドにわたる第4回6者会談のすえに共同声明が発表された。振り返って見れば、ブッシュ政権は1期目は言うに及ばず、2期目に入っても朝鮮との対等の立場での対話を拒み続けてきた。「先核放棄、後対話」だった ▼それが、「平和的核利用権利」「軽水炉提供」という朝鮮側の主張を盛り込んだ共同声明に応じたのだから、ブッシュ政権は対朝鮮政策を根本転換したのだろうか、と「錯覚」した読者もいたはずだ ▼ところが、三つ子の魂百までとはよく言ったもので、共同声明発表を受けてその内容を実践するための第5回会談に入ると、またもや朝鮮敵視、圧殺の本音を露わにし始めた。朝鮮企業に対する金融制裁に踏み切る一方で、国連人権委員会で「北朝鮮人権状況」決議を採択。その間にブッシュ大統領はまたもや「暴君」発言を厭わなかった ▼さらには11月、北米航空宇宙防衛司令部が「核、ミサイル開発を続ける北東アジアの国」に対する軍事演習を行っていたことも明るみに出た。共同通信などが報じているように、その「北東アジアの国」が朝鮮を指していることは言うまでもない。非核化に向けて共同声明に応じながら、一方でこの振る舞いである。白紙にされてしまった94年のジュネーブ合意が頭をよぎってしまう。(彦) [朝鮮新報 2005.12.6] |