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ブッシュ米大統領の東アジア歴訪が終わった。歴代の米大統領の中で、この御仁ほど「人権」「自由」「民主主義」をセットにして口にしてきた人物もいないと思う。今回も行く先々でそれらのことをあらためて強調した ▼中国訪問時には「社会、政治、宗教の自由を拡大することが重要だ」と迫った。胡錦涛主席は「(中国は)特色ある民主政治を建設する」と切り返した。チベットの分離、独立を主張するダライ・ラマの招請まで促し、国家建設の方向性について注文を付けるとは、内政干渉もはなはだしい ▼6者会談についても、朝鮮に対し「すべての核兵器と核計画を放棄する約束を履行する義務がある」と言及した。彼の言う義務とはいったい、いつ、どこで合意したものを指すのだろうか。思い当たるものはない。ただあるのは第4回6者会談での共同声明である ▼しかし、共同声明にはブッシュ大統領がいっているような、なんらかの義務項目は1行もない。朝鮮半島核問題解決、すなわち非核化実現に向けての共同意思とそれぞれの目標が明記されているだけだ。それらを確認、具体化するための第5回会談は第1ラウンドを終了、休会中である ▼伝えられるところによると、ブッシュ大統領は胡主席との会談で金正日総書記との会談について否定的ではなかったという。その意味するものは国交樹立だろうが、さまざまな状況からしてその可能性は現在、非常に低い。それよりも何よりも、対話の相手を刺激するのではなく信頼構築のための方策を探し求めることが、今もっとも必要なことだろう。(彦) [朝鮮新報 2005.11.26] |