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「今われわれに求められているのは、名分をなくした分断の秩序と冷戦の秩序に代わる新たな平和と繁栄の秩序を、自らの手で作っていくこと」。平和財団創立1周年シンポジウムの席で鄭東泳・統一部長官はこう語った。この後にこう続く。「世界次元の新秩序と朝鮮半島の冷戦体制解体の流れとは異なり、われわれが当面している最大の障害物は内部に存在する冷戦である」 ▼さまざまな解釈が可能だが、内部の冷戦をもたらしている最大の障害物のひとつとして「国家保安法」が挙げられよう。鄭長官が「過去60年間、南北関係を妨げてきた有形無形の冷戦の障壁がその存在理由を失っている」と指摘していることからも、そう言える ▼6.15共同宣言採択5周年を機に、統一情勢は「第2の6.15時代」に入った。質、量ともに前進が見られた。たとえば、朝鮮戦争で犠牲となった南の兵士を祀った国立墓地に北の要人が訪れたが、これなど以前には考えられなかった。逆に鄭長官は元総理で国防委員会副委員長だった延亨黙氏の死去に哀悼の意を表した ▼そうした時代にもかかわらず、同族を敵とみなす「国家保安法」はなくなっていない。この法のもと、連邦制を主張した人が「北の考えに同調した」として逮捕されたこともあった。先日、平壌産院で次女を産んだ女性の夫はいまだに同法違反容疑で指名手配されており、そのため次女に会えないでいる ▼北南の人々の間では一部を除きこうした障害物はすでになくなっている。しかし、その流れに逆行する人がいまだに存在しているのも現実だ。(聖) [朝鮮新報 2005.11.17] |