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「国家保安法7条の賛揚、鼓舞罪はすでに死に法なのに、その亡霊がいまだにこの社会を支配している」。鄭東泳・統一部長官は17日、開かれたウリ党全国女性委員会メンバーらの前でこう指摘。「昨年、国会でこの問題をきちんと整理していたなら、最近のような波紋も起きなかったはずだ」と悔しさをにじませた ▼「波紋」とは、「朝鮮戦争は統一のための戦争だった」などと発言して「国家保安法」違反容疑に問われた南の大学教授の捜査と関連して、千正培法務部長官が検察総長に対し、逮捕はせずに捜査するよう指揮した問題だ ▼当の千長官は「人権をはじめ法的手続きを守らなければならない」と主張。教授への不拘束捜査に関しては、「憲法と刑事訴訟法が定めた不拘束の原則である証拠隠滅と逃亡の恐れという拘束条件を備えていない」として、全面的に法にのっとったものと反論している ▼ところが、検察側や野党ハンナラ党は猛反発。「捜査権の侵害」「教授をかばうもの」などの論調を張った。だが、背景に「国家保安法」廃止に持ち込みたい与党ウリ党とそれに抵抗する保守勢力の争いがあるのは確実だ。だからこそ、鄭長官の冒頭の発言は注目に値する。鄭長官は千長官についても、「人権を尊重する参与政府の哲学を尊重したもの」だと弁護した ▼北南関係がここまで進展しているのに、北を敵とみなす「国家保安法」がいまだに存在している不思議さ。そうした矛盾に一石を投じたのが、今回の出来事だったといえる。これは朝鮮半島における脱冷戦に向けた動きでもある。(聖) [朝鮮新報 2005.10.20] |