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自主、平和統一をめざす大きなうねりが朝鮮半島、全朝鮮民族に押し寄せている中、南では民族対決、軍事、文民独裁時代の負の遺産を象徴する事件が発覚していた。国家情報院(前身=国家安全企画部)による盗聴事件である ▼発覚の発端となったのは、盗聴チームのテープがマスコミに流出したことだった。すでに97年の大統領選挙で財閥に資金提供を持ち掛けていた洪駐米大使は辞任に追い込まれてしまった ▼盗聴は文民独裁と呼称された金泳三政権時代に始まった。政界はむろんのこと、財界など各方面に及び、金大中時代の初期まで行なわれていた。鄭東泳統一部長官は事件の発覚を聞いた直後、金大中政権時代、大統領との重要なテーマの会話はすべて筆談で行っていたとのエピソードを披露した。盗聴範囲の広さ、さらには国家情報院の強大さを示すものである ▼問題は、これら二つの政権に及んだ盗聴の内容が誰に提供されどのように使われてきたのかだろう。金前大統領までその対象だったとすれば、その反対勢力に渡っていたということになるが、その全容を知るには、現在の捜査の行方を待つほかない ▼6.15時代、実質的に南側における対決時代の法的装置は無力化している。しかし、「国家保安法」など対決時代の法律が今もなお存在していることも厳然とした事実である。国家情報院の力も徐々に骨抜きにされているが、南当局が人事権を持っているのは院長と3人の次長だけ。協力者を含めると数万とも言われる伏魔殿。一日も早い悪法廃止が待たれる。(彦) [朝鮮新報 2005.8.30] |