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春・夏・秋・冬

 先月28日、自称「元北朝鮮工作員」だという安明進が衆院拉致問題特別委員会に参考人として出席し証言をした。各紙の報道によると、安は「北朝鮮で目撃したか、生存の直接的な情報を持っている日本人は15人いる」と述べ、蓮池薫さんらの名前を上げた

▼名指しされた蓮池さんは翌29日、「多少の思い違いがあるようだ」と、安とは会ったことがなく「金正日政治軍事大学にいたこともない」という内容の談話を文書で発表した

▼安の語る「北朝鮮情報」や「拉致情報」が、「脱北してきた」という93年当時とそれ以降、徐々に変わってきていることに気づいている人間は多い。とくに、安の活動をサポートし、その一方で利用してきた「取り巻き連中」はそうだという。「脱北」後、早くから接触してきたと吹聴してきたのだから、当然だ。長年、保護してきた南朝鮮当局(国情院)もそうだろう

▼しかし、エスカレートする余り「ずれの出てきた内容」について指摘する人間はほとんどいない。指摘すれば「自分も同類」、それまで週刊誌などに書きまくり、テレビに登場しては、したり顔で語ってきた内容の信憑性が今度は逆に問われかねないからだ。安の「真実」を問わないことが持ちつ持たれつ、お互いの平穏を維持することにつながるのだろう

▼こういう話を、ある知り合いの記者にしたところ、急に何かに目覚めたかのように「日朝が平壌宣言に沿って国交正常化すれば、それまで好き放題に語ってきた学者や評論家だとかはどうするのかな」とつぶやいた。日本に問うべきことは多い。(彦)

[朝鮮新報 2005.8.4]