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日本列島が「休眠」状態にあったゴールデンウィーク期間中、ワシントンからその「眠り」をさますかのように朝鮮が核実験を準備している、東海でミサイル発射実験をした、という情報がもたらされた。いずれも驚くに値しないものだが、それよりもわざわざこの時期に、そうした事を発表したことの「背景」に考えが及ぶ ▼1日、共同通信は米軍が朝鮮などを念頭に置いて、先制核使用の選択肢を明記した文書の存在が明らかになったと報じた。文書名は「統合核作戦のためのドクトリン」(草案)。今年3月15日付で作成されたものだ ▼先制核使用の選択肢という表現からピーンと来るものはないだろうが、米軍が核兵器の使用、「限定核戦争」を前提にして各地域に駐留している、と説明すれば理解は早いと思う ▼各地域軍司令官が米大統領に核使用の許可を申請できる事例として、@大量破壊兵器を使用あるいはその使用を企図しているA生物兵器攻撃が迫り核兵器だけが同兵器を破壊できるB大量破壊兵器を貯蔵した地下拠点を攻撃する−を挙げている ▼事例は事例として、この文書の問題点は91年に米国が宣言したアジア、欧州からの戦術核撤去宣言が嘘であったことを結果的に吐露している事である。文書には、米本土に撤去した空母、潜水艦搭載用の戦術核は「戦争に備えて再配備が可能な状態にしてある」と明記されている。ブッシュ大統領は先日も、核問題解決のためには6者会談の継続が「最善の道」だと強調したが、「懐に刃を忍ばせている」のでは対話は成立しない。(彦) [朝鮮新報 2005.5.10] |