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日本の植民地支配時代に強制連行され、死亡した朝鮮人の遺骨の南朝鮮への返還が具体化しそうだ。6月下旬にも開かれる南・日首脳会談で小泉首相が表明するという。祖国光復から60年を迎える年、遅まきながらも日本政府が動きを見せたことは幸いだ ▼当然のことではあるが、ここに至るまでには、遺族の地道な訴え、北南の民間団体などの活動があった。在日と日本人らで作る朝鮮人強制連行真相調査団の活躍も特筆に価する ▼昨年から今年にかけて、遺骨をめぐる動きは非常に活発化した。盧武鉉大統領が昨年12月の首脳会談で、強制連行者の遺骨の所在確認と返還への協力を要請したのは記憶に新しい。東京・目黒の祐天寺、埼玉の金乗院で、遺骨の扱いをめぐる許しがたい事実も次々と明らかになった。つい最近も山口の長生炭鉱で南の関係者を交えて実態調査とシンポジウムが開かれた ▼第61回国連人権委員会では、総聯の代表団が初めて、遺骨の問題を提起した。数十人分の遺骨が一つのダンボールに納められた写真を見て、国際赤十字のメンバーも色を失ったという。各地の強制連行真相調査団メンバーが、首相官邸や厚生労働省、外務省など関係各機関を訪れ要請活動をした際に同行したことがあるが、こういう運動こそまさに「草の根」の運動といえる ▼一つ残念なことは、今のところ返還が南にのみ限られていることだ。強制連行者は朝鮮半島全体にわたっており、同じように遺骨の返還を待っている遺族が北にもいる。日本政府はその事を決して忘れてはなるまい。(聖) [朝鮮新報 2005.5.7] |