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春・夏・秋・冬

 18日に北京の朝鮮大使館で行われたアン・ピルファさんの「朝鮮帰国」会見の内容は、アンさんの一件だけでなく、これまで広く報じられてきた「脱北者」問題の背景に「政治的意図」が確実に潜んでいた事を示唆するものだと言える

▼まずは、日本に来る契機になった、息子の家から自宅に戻る途中に出会った男の存在。彼は、どうしてアンさんが帰国者であると判別できたのか(それも妹が日本にいることまで知っていた)。次に中国・瀋陽で会った日本人記者と朝鮮語を話す人物、2人の存在。そして、この2人が仲介した日本総領事館との接触

▼アンさんを朝鮮国内から連れ出した男、瀋陽での2人の男、日本総領事館は、単純に線を引けばつながる。この3者は連携していたのか、連携していたとすればどのような役割分担で、その最終目標は何だったのか。解明されるべき謎は多い

▼アンさんの一件が起きた2002年当時といえば、第1次ブッシュ政権の時代。朝鮮敵視、孤立、圧殺政策が露骨になり、朝・日間でも小泉首相の訪朝、平壌宣言の発表にも関わらず、「拉致」問題の表面化を契機に、朝鮮敵視感情が右翼政治家らによって煽られていた時期だった。「脱北者ラッシュ」でもあった

▼安倍官房副長官(当時)ら対朝鮮強硬派は「朝鮮は近い将来に必ず崩壊する」と口にしていた。その根拠の1つにしていたのが「脱北者ラッシュ」。アンさんを連れ出した男たちの存在と、安倍氏らの指摘、認識はどこかでつながっていなかったのだろうか、という疑問も提起されてくるのだ。(彦)

[朝鮮新報 2005.4.23]