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最近、京都・東九条を取材した知り合いの記者から、昔とは相当趣きが違っていたという話を聞いた。行ったことがある人ならわかるだろうが、東九条には0(ゼロ)番地という有名な場所がある。川の上にバラックが立ち並んでいる。川が下に流れているという環境は押して知るべし。そんな悪条件のなかで同胞たちはコミュニティーを形成し生活してきた ▼日本各地には、トンネと呼ばれる同胞部落が数多く点在していたが、最近ではその数もめっきり減っている。自然、分散して暮らすようになり核家族化も進む。そんななか、各地のオモニたちの悩みが子育てだ。昔なら、トンネの先輩オモニたちから自然と子育てを学んだり、忙しい時には互いに手伝い合ったりしたものだが、今はそうはいかない。一人で悩んでいる新米オモニたちも少なくあるまい ▼そんな悩みを共有し、一緒になって解決していこうと、近年、学齢期前の子どもを抱えるオモニたちの子育てサークルが各地に作られている ▼サークルでは、専門家を呼んで講義を聞いたり、互いに悩みを打ち明けあう場を設けたり、先輩オモニたちから話を聞いたりするなど、工夫をこらして子育て問題を解決していっている。そんな1つを本日付の7面で紹介した。女性同盟大阪・中西支部の子育てサークル「チャンミコッ」が開いたセミナーがそれ。子ども研究所の所長を招いての講演だ ▼参加者たちはもちろん喜んでいた。「3人寄れば文殊の知恵」ではないが、1人で悩まずみんなで解決していく場。21世紀型の「トンネ」かもしれない。(聖) [朝鮮新報 2005.2.26] |