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悲しみ

 木も岩もない山で
 鷹に追われる雉の気持ち
 大海原の真ん中
 一千石も積んだ船が
 櫓も錨もなくし
 縄は切れ 帆柱も折れ
 舵はきかず
 風は吹き 波は逆巻き
 霧は深く
 道は
 いまだ千里も万里もあるのに
 あたりは寂寞と暗く
 波はますます高く
 そのさなか 
 海賊に出くわした船乗りの気持ち
 一昨日
 あなたを亡くした わたしのこころ
 比べるべくもないものを

 長時調。愛する者を亡くし、寄る辺のない身の不安と絶望を詠う。詩に詠むことで、人はまた起き上がり、生きる勇気を奮い立たせたのだろうか。(朴c愛、朝鮮大学校文学歴史学部非常勤講師)

[朝鮮新報 2005.6.8]