〈担当記者座談会 05年朝鮮半島情勢を振り返る@〉 北南関係 |
体面捨て実質的進展へ 「第2の6.15」を象徴 金日成主席逝去10周年に際して起きたいわゆる「弔問問題」を機にこう着状態にあった北南関係は今年、6.15北南共同宣言発表5周年を境に大きく進展した。今年の北南関係の動きを担当記者が振り返った。 A 1年近くにわたってこう着状態にあった北南関係が動いたきっかけは、何といっても金正日総書記が鄭東泳・統一部長官と会見したことだね。 B そのとおりだ。6.15共同宣言発表5周年を記念して平壌で盛大に開かれた民族統一大祝典に参加した鄭長官を、総書記は6月17日、4時間近くにわたって面談した。単独会見のあとには林東源・元国情院院長、朴在圭・元統一部長官ら北南首脳会談縁故者らを交えて昼食もともにした。 C 盧武鉉大統領の特使として総書記と会った鄭長官は席上、大統領の口頭メッセージも伝えた。 B この会談で6者会談復帰を総書記が明言し、離散家族再会事業の1年1カ月ぶりの再開なども決まったのだから、まさに大きなきっかけだったわけだ。 A 見落としてはならないのは北南閣僚級会談北側代表団の権浩雄団長(内閣責任参事)が当局間実務会談開催を提起したことだ。南側が即時に応じ実現した会談でいくつか大切なことが決まったからだ。 C 閣僚級会談再開合意と肥料20万トンの北側への提供などだね。しかし、一番大切なのは北と南が6.15民族統一大祝典に当局者を派遣することを決めたことだろう。民間が主催するこうした行事に当局者が参加したのは5年間の歴史で初めてのことだ。 B まさにその決定があったからこそ、総書記と鄭長官との「6.17面談」も実現した。 A 会談での合意に基づき、6月21日から23日まで第15回閣僚級会談が開かれた。実に13カ月ぶりの再開だ。 C 円卓を囲んでの会談風景が印象的だった。「対決ではなく和合を指向する願い」(鄭長官)から配置されたそうだが、これまでになくスムーズに進んだ会談を象徴していた。 A これは「会談文化を積極的に改善し、実質的な北南協力方案を論議しよう」(総書記)との考えを実践する初めての試みだったらしい。これまでは互いの意見を押し付ける論争の場的雰囲気が少なからずあったが、この会談は合意を積み重ねていく実質的な場になった。 B その後開かれた経済協力委員会でも、「新方式の経済協力事業」を推進することで合意した。南が北に一方的に支援する印象がぬぐえなかった経済協力事業を「ギブ・アンド・テイク」の形に転換するわけだ。来年から南は北に靴、衣類、石鹸などの消費物質生産に必要な原材料を提供し、北は南に亜鉛、マグネサイト、石炭などの地下資源開発に対する投資を保障し生産物を提供することが決まっている。 C 北が大胆な発想の転換を行っていることがわかる。それは北南関係の随所に現れた。印象的だったのは、自主、平和、統一のための8.15民族大祝典に参加した金己男党書記ら当局代表団一行が南の戦死者などを祭った国立顕忠院を訪れたことだ。 A そのあとに開かれた第16回閣僚級会談で発表された共同報道文には「北南関係でいっさいの体面主義を捨て」ることが明記された。顕忠院訪問などはその典型で、古い観念からの脱却を意味するものだ。 C 開城工業地区には北南経済協力協議事務所が開設され、北南の実務者が同じ建物に常駐している。 B まさに「第2の6.15時代」というわけだ。 C 離散家族、親せきの画像面会も実現した。この事業のために北南間に光ファイバーケーブルがつながったのだから、これなどもほんの少し前まで考えられなかった。 B だからこそ北側は旧時代の遺物ともいえる「国家保安法」の撤廃、米韓軍事演習の中止などを求めている。「冷戦の遺物」を残しておいて新たな北南関係は築けないということだ。 A しかしハンナラ党などの「反北勢力」「反統一勢力」が依然として存在する。とはいえ、こうした流れはもう止められない。 B 明日13日からは済州道で第17回閣僚級会談が開かれる。この会談がどういった具合に進み、どんな合意をもたらすのか。来年の北南関係を占うひとつのバロメーターになるだろう。(まとめ=文聖姫記者) 1年間の北南の主な動き
[朝鮮新報 2005.12.11] |