第7回日朝教育シンポジウム 各地の交流、活動を報告 |
民族教育差別、完全解消を! 国交正常化、早期実現を! 第7回日本・朝鮮教育シンポジウム−民族教育権差別の完全解消と日朝国交正常化の早期実現を!−(共催=日本教職員組合、在日本朝鮮人教職員同盟、日本朝鮮学術教育交流協会)が15日、日本教育会館(東京、神保町)で行われ、各団体のメンバーら約100人が参加した。シンポジウムでは、各地の交流や活動、その過程で得た経験などについての報告が行われた。また、日本での民族差別を解消し、朝・日友好親善をより深め、一日も早い朝・日国交正常化の実現を求める決議が採択された。 「知らない」が差別生む
シンポジウムでは、日教組の福岡憲夫組織局長、教職同の具大石委員長、日朝学術交流協会の西澤清副会長があいさつ。朝鮮対外文化連絡協会からのメッセージが朗読された。 つづいて各地での交流や学校支援活動についての報告が行われた。 民族教育の未来を考えるネットワーク広島の児玉戒三代表は、南朝鮮の教員らとの歴史教材共同編集を行った経験について報告。「目の前にいる子どもたちに一番伝えたいものは何か」を柱にして作成したという。今後、近、現代史の作成に取り組むという。 朝鮮学校と日本学校の生徒たちの交流について報告した福岡県教組の中村元気委員長は、「知らないということが差別を生んでいる」と語る。日本の生徒が朝鮮学校の生徒に「日本語が上手ですね」と話しかけることが多いという。「日本の教育の遅れを示している。交流の場をいっそう広めていきたい」と語る。 東京第2初級の宋賢進校長は「学校取り壊し裁判」の現状と市民らの支援活動について報告した。宋校長は裁判が始まって以来、多くの市民らが支援活動に参加してくれたとしながら、「この問題は民族教育の保障に関する問題であり、日本の戦後補償に関わる問題だ」と指摘した。 「ウリハッキョ守りたい」 シンポジウムでは、東京朝鮮中高級学校の高琴美さん(高3)と神奈川朝鮮初中高級学校の金主純さん(高3)がそれぞれ発言した。 高さんは「目に見えない差別に涙を飲むしかない−こんな経験を後輩にさせたくない。ウリハッキョを守りもっとすばらしい学校にしていきたい」と訴えた。 金さんは「日本人との交流を通じてお互いを知ることの大切さを学んだ。国際都市、横浜が多文化共生のパイオニアになれるよう、手を取り合ってがんばっていきたい」と語った。 続いて、大石忠雄・前神奈川県高校教育会館県民図書室長が基調報告を行った。 基調報告では、朝鮮学校と民族教育の経緯、国連の人権諸委員会の勧告、教組各団体の取り組みについて言及し、在日外国人学校の処遇改善、大学受験資格審査の学校単位での実施、各分野での差別解消と民族教育権の保障に関する法整備などを訴えた。 まとめのあいさつをした日朝学術教育交流協会の横堀正一事務局長は、6者会談では平和的な解決を目指す方向で合意がなされ、朝鮮半島の南北関係の進展と全分野で「民族同士」の動きが強まっていると強調し、「日本の対朝鮮敵視政策は破たんしつつある」と指摘。「日本がアジア民衆に信頼される歴史認識を確立する方向で努力することを期待する」と述べた。 シンポジウムでは、「民族教育権差別の完全解消と日朝国交正常化の早期実現を求める決議」が採択された。(李泰鎬記者) 第7回日本・朝鮮教育シンポジウムで採択された決議で提起された課題 @学校交流、地域交流の輪を広め、日朝友好親善のきずなをよりいっそう強めること。 A人権保障の見地からも、また日本の真の国際化のためにも、民族教育の権利が尊重され、朝鮮学校に対する処遇が「1条校」に準じてなされるべきこと。とくに、東京朝鮮第2初級学校取り壊し裁判を撤回すること。 B政府の責任で朝鮮学校に私立学校なみの教育助成金を措置し、日本の国立大学の受験における民族差別を完全に解消すること。 Cスポーツや文化分野における差別を完全に解消すること。 D政府は文部省(文科省)の民族教育差別の諸通達をすみやかに撤回し、国連諸委員会の勧告を受け入れて、国内法を改正すること。 [朝鮮新報 2005.10.20] |