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「『反日』とは何か−アジア市民の対話」東京で集い 歴史認識の歪み 民主主義の危機

300人以上の参加者で盛況となった集会(9日、東京)

 日本の敗戦60年の年に、靖国問題、歴史教科書問題、独島(竹島)問題、国連常任理事国入り問題をめぐって、東アジアで日本への批判が高まっている。噴出する「反日」とは何か。

 9日、東京・御茶ノ水の明治大学駿河台校舎リバティタワーで、韓国の歴史家・聖公会大学教授の韓洪九氏、中国人研究者・王智新氏、東大教授・高橋哲哉氏、東京経済大学助教授・徐京植氏らが参加して「『反日』とは何か−東アジア市民の対話」がNPO「前夜」の主催で開かれ、この問題で徹底討論が行われた。

 この日、ソウルからゲストとして招かれた韓氏は、新進気鋭の歴史家であり、ヴェトナム戦争での韓国軍参戦問題の責任追及、朝鮮戦争前夜の民間人虐殺の真相究明、良心的兵役拒否の活動など、韓国現代史を見直す積極的活動を続けている。また、南でベストセラーになった「韓国現代史−負の遺産から何を学ぶのか」が日本でも翻訳出版(平凡社刊)されるなど注目を浴びている。

韓洪九氏

王智新氏

 同氏は発言のなかで、朝鮮半島の分断と根深い軍事主義の半世紀を振り返りながら、南の社会における親日派の清算問題について次のように指摘した。

 「本当に重要なこと、真相を究明し再発を防止しなければならないことは、親日派たちが解放後に執権したことであり、そのあとに自らの恥ずべき過去を隠すために何をしたかということである。『反民族行為特別調査委』の破壊から民間人虐殺にいたるまで、その過程は私たちが絶対に許してはならない、処罰しなければならないものである。親日派の子孫が自らや自らの祖先が日帝時代にしたことを隠すために、それを知っている人間をどうやって殺したかである。そちらの方がより重要な問題である」

 さらに同氏は、日本軍の手先であった朴正煕元大統領に代表される親日派が、解放後も権力の中心に居座りつづけ、日本の一部の政治家、軍国主義者たちとゆ着して南の社会の民主化を阻み、軍事主義を長い間温存させてきたと指摘した。

 また同氏は、現在日本では、平和憲法を守る問題が焦眉の関心事になっていると指摘したうえで次のように強調した。

高橋哲哉氏

徐京植氏

 「戦後の米国の日本占領政策の変化は、戦争責任者たちに免罪符を与え、日本は戦争責任をまともに清算しなかった。このため、日本社会の一部と政界では、常に日本が起こした戦争に対して、何がまちがっているのかと開き直りながら正当化してきた。そして、今日憂慮すべき点は、日本の政界がいわゆる改憲勢力に占領されたことである。過去に日本から侵略された隣国が日本の急速な右傾化に対し、問題を提起するのは当然のことである」

 一方、王氏も中国の民衆の「反日」感情は、日本軍国主義と日本帝国主義に対する反発であり、抗議であると強調。日本のメディアが民衆の抗議活動を「反日暴動」などと、わい曲報道していることに、強い不快の念を示した。そして、同氏は侵略戦争を美化し、正当化する以外の何ものでもない小泉首相の靖国公式参拝は被害国の立場から絶対容認できないと主張した。

 徐氏は、6月の日韓首脳会談について「みすぼらしい結果に終わった。東アジアとの関係は悪化し、この地域は平和の危機を迎えている。われわれにとって、日本の右派ナショリズムや歴史修正主義と闘うことは自らの使命である」と強調した。

 また、高橋氏は「日本の民主主義は今、深刻な危機に直面している」と述べ、「日本の歴史認識の問題点は、日本の民主主義の問題点に対応し、歴史認識の未確立は民主主義の未確立に対応し、歴史認識の危機は民主主義の危機に対応している」と鋭く指摘した。

 さらに同氏は日本が過去の誤りを誤りと認め、戦争責任と植民地支配責任を果たしていけるような歴史認識を日本の国と社会が確立できるよう、微力を尽くしたいと語った。(朴日粉記者)

[朝鮮新報 2005.7.27]