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大阪調査団報告集会 遺骨調査、証言収集など対象幅広く

 日本の太平洋戦争末期、大阪では8回以上にわたる大規模な空襲があり、約1万5000人が犠牲となった。当然、朝鮮人の犠牲者も多かった。だが、関連する資料がほとんどなくいまだ実態は明らかでない。府内各地には無縁仏となった遺骨が散在している。6日に大阪・森ノ宮で行われた「8.15」60周年記念報告集会(主催=大阪府朝鮮人強制連行真相調査団)では、強制連行に限らず、すべての同胞の遺骨の調査、返還に取り組んでいこうと、大阪調査団のメンバーをはじめ参加者たちは「再出発」を誓った。

大空襲、朝鮮人も犠牲に

報告集会の様子

 大阪調査団日本人側の塚崎昌之氏の報告によると、大阪の空襲犠牲者は約1万5000人。敗戦当時の在日朝鮮人の割合から計算して、朝鮮人の犠牲者は1500人以上とみられる。

 とくに当時、大阪市の海岸部には旧日本軍の施設や軍需工場が多数存在し、2万人以上の朝鮮人が強制連行され働かされた。8回の大空襲に見舞われた大阪では、集団的な疎開が行われたが、朝鮮人は後回しにされ、町に残されたという。

 しかし、当時の資料はほとんど残っておらず、数字はあくまでも日本人や他県との比率ではじき出したもの。体験者や目撃者の多くは亡くなっており、証言者は減っている。

 塚崎氏は「犠牲者についてわかっていないということが差別だと言える」と指摘し、全面的な調査の必要性を訴えた。

ホットライン、大阪は5件

 集会では、6月に調査団が開設した強制連行犠牲者に関するホットラインの集計結果についての報告も行われた。茨城、神奈川、愛知などでも遺骨に関する新しい情報があった。だが、遺族たちに通知すらされておらず、合葬されたものも多いという。

 結果報告を行った調査団中央本部の洪祥進・朝鮮人側事務局長は、日本政府が行っている遺骨調査の対象が民間徴用者に限られており、南側だけに返還されようとしていることを批判。「強制連行に限らず、空襲や戦後の犠牲者も含むすべての朝鮮人を対象に調査を広げるべきだ」と指摘し、遺骨調査と証言収集への協力を呼びかけた。

「若い世代とともに活動を」

 朝鮮や日本を取り巻く東アジアの情勢、日本政府の遺骨調査について解説した大阪調査団日本人側事務局長の空野佳弘弁護士は、「大阪調査団もネジをもう一度巻きなおし、若い人とともに歴史的な活動を展開しよう」と呼びかけた。

 集会では、3、4月の国連人権委員会に総聯代表団の一員として参加した留学同大阪の劉由子さんが活動報告を行った。「遺骨の問題、従軍『慰安婦』の問題など今も続いている。若い世代がハラボジ、ハルモニの話を聞くことが大切」と述べた。

 また、植民地時代に尼崎造船所に強制連行された経験を持つ大阪市内在住の同胞が「小さな工場や下請け工場などで働いた人も調査してほしい」と訴えた。(泰)

[朝鮮新報 2005.7.13]