日本政府の大罪 遺骨は語る〈9〉 愛知・東山霊安殿 |
名古屋市天白区の市営八事霊園内の東山霊安殿には、「行政機関等から依頼を受けた行旅死亡人等の焼骨」が納骨されている。同胞の遺骨も含まれており、来年2月17日までに申出がない場合、「(10年以上保管している遺骨について)無縁仏として改葬する」と公示されている。 市は判断回避、交渉中断
東山霊安殿は、かつては千種区の平和公園内にあった。太平洋戦争戦没者を含む1800数十体の無縁仏が安置されていた。 このうち121体は、1942年から90年9月までに亡くなった同胞のもので、民団愛知県本部などの調査で4人の身元が判明。北海道や福岡の炭鉱に強制連行されていたことが明らかになった。 さらに、朝鮮人強制連行真相調査団は日本政府が南朝鮮政府に提供し南で公開されている軍人軍属、被徴用者などに関する約45万人分の名簿と照合。9人の名前が旧日本海軍や北海道に徴用された犠牲者と一致したという。 91年3月、同本部が当時の市長に本籍地の照会などを求めたが、「プライバシー保護との兼ね合いがある」として法務省に判断を委ねた。同省は検討を続けていたが交渉は中断したままになった(朝日新聞、91年6月7日付)。 調査団、民団、具体調査を要請 遺骨を管理していた同市社会福祉協議会(市社協)は99年、霊安殿を移転するのにともない84年3月までに亡くなった1091人分の遺骨を「改葬」した。 市社協の委託を受けた業者は遺骨を粉にし、石川県鳳珠郡門前町の総持寺に安置した。 粉砕処理という「前代未聞の処理」(調査団中央本部の洪祥進・朝鮮人側事務局長)が明らかになり、愛知県強制連行真相調査団と民団愛知県本部は8日、市社協を訪れ経過説明を求めた。 市社協側は「遺骨を保管するスペースに限りがあるので処理した」として、「移転協議の際、話題にすらならなかった」「考えて見れば連絡すべきだった」(市社協総務部長)と述べた。 調査団、民団側は、日本の過去清算の問題であり、人間の尊厳にかかわる問題だと指摘し、日本人と差別なく扱うよう求めた。また、生年月日など名簿について、より詳細に調査するようあらためて要請した(愛知調査団の金順愛・朝鮮人側事務局長)。 市社協側は、埋火葬許可書などをあらためて調査するとし、現在保管している同胞の遺骨について「手をつけない」ことを約束した。 調査団関係者は「市は登録原票などを調査し、本国に連絡する義務がある」と指摘する。調査団、民団は、市社協とともに名古屋市に対しても、責任をもって調査に取り組むよう求めていく構えだ。(李泰鎬記者) [朝鮮新報 2005.7.13] |