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日本自衛隊の朝鮮侵攻作戦研究−下

朝鮮想定の日米共同演習も 自衛隊の任務、海外へ

 第2の転換点が海外派兵である。01年9月11日の同時多発テロ直後、日本政府は米国の要請に応えてテロ対策特別法を成立させ、「対米支援」「国際貢献」の名の下に自衛隊艦艇をインド洋に派遣、対アフガン作戦中の米艦に洋上給油を行った。さらに03年の米軍のイラク侵攻作戦に際しては、いち早く陸上自衛隊をイラクの戦地に派遣した。

 報道によると、日本の政府与党は、自衛隊海外派遣の恒久的な法案を今年中に国会に提出するという。自衛隊の海外派兵にあたり、その都度、根拠法(特措法)で対処している現状を改め恒久的に自衛隊の海外派兵を可能にするためである。周辺事態法が朝鮮半島有事への自衛隊の参戦プランとすれば、自衛隊のイラクなどへの海外派遣は、朝鮮半島有事対応の習熟行動とも言えるだろう。

 日本政府は昨年12月、「新防衛計画の大綱」を発表した。その特徴は安保戦略を従来の「専守防衛型」から「脅威対応型」へ転換させることである。さらに去る2月の日米安全保障会議では「共通戦略目標」で合意、「日米軍事同盟の役割範囲を世界的規模に拡大」することとし、対象として「北朝鮮」と「台湾海峡」を明記した。

 つまり、朝鮮や中国を想定した日米軍事協力体制の強化であり、自衛隊の役割、範囲のアジアから中東地域などへの拡大である。いま米国が進めている米軍の世界的再編もその一環であり、日本政府が今年中に策定するという「新日米安保宣言」、さらなる「ガイドライン」の改訂もそのためである。太平洋からインド洋までを受け持つ広域司令部である米陸軍第1軍団(ワシントン州)のキャンプ座間(神奈川県)への移転と、空自・航空総隊司令部の横田基地(在日米軍司令部)への移転も米日軍事一体化へのプロセスである。

朝鮮敵視立法、「北朝鮮バッシング」

 その一方で、日本の朝鮮への敵対的な軍事行動や対応が急速に進んでいる。昨年3月、日本は軍事偵察(スパイ)衛星2基を打ち上げ、さらに近く2基を追加打ち上げて、4基のスパイ衛星によって「対北朝鮮偵察、監視」を続ける体制を作ろうとしている。

 昨年初め、防衛庁・朝霞基地(東京都練馬区)では過去最大の4000人が参加した「日米共同方面隊指揮所演習」が行われたが、その内容は朝鮮を想定した「某国軍を2週間以内にせん滅する」というものだった。昨年10月、東京湾では、防衛庁の主催で朝鮮をターゲットとする大量破壊兵器防止構想(PIS)の洋上封鎖訓練が行われた。また東海では米軍および自衛隊のイージス艦が張りついて「対北朝鮮監視」を続けている。

 こうして今や日本は、朝鮮侵攻作戦研究を終え、いつでも実戦に突入できる状況にある。

 日本当局は昨年末、「拉致問題」にかこつけて朝鮮への送金や輸出を規制するための外国為替法および外国貿易法の改悪、さらには特定外国船舶入港禁止特別措置法、油濁損害賠償保障法などをつくり、朝鮮船舶の入港を規制している。テレビや出版物の洪水のような「北朝鮮バッシング」も相変わらずである。

 いま朝鮮の南北や中国では、靖国神社参拝、歴史教科書、日本の国連安保理常任理事国入り問題などをめぐって厳しい対日批判、デモが起きている。

 日本は、アジアで孤立しないためにも過去を深刻に反省し、自重すべきであろう。(H)

[朝鮮新報 2005.5.16]