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日本自衛隊の朝鮮侵攻作戦研究−上

 日本の大野功統・防衛庁長官は、さる4月8日の閣議後の記者会見で、「北朝鮮のミサイル基地を戦闘機で攻撃する『敵基地攻撃』研究」を、94年に防衛庁が極秘裏に行っていたことを明らかにした。この問題についてはすでに95年頃から部分的、断片的に日本のマスコミを通じて明らかになっている。だが、朝鮮に対する米日共同の侵攻作戦計画は、早くは朝鮮戦争に始まり、63年の「三矢研究」、さらには02年の「OP5055」、最近の「先制攻撃論」に至るまで極秘裏に続けられ補完されてきた。そして今、日本は右傾化、軍事大国化、国連安保理入りへ向けて突っ走っている。

極秘裏に陸、海、空の対応策

 94年の核危機の際、米クリントン政権は対朝鮮侵攻作戦「OP5027」(5段階の先制核攻撃作戦で平壌を占領するという計画)の発動を決め、日本政府に対して米日共同作戦「OP5052」を提示した。だが日本側の対応が困難だというので、代わりに1059項目におよぶ協力、支援を要請した。

 これを受けた日本政府は、後方支援を含めた朝鮮侵攻作戦計画および対朝鮮封鎖、在日朝鮮人取締りなどを内容とする「朝鮮半島危機対応総合研究」を極秘裏に行い、次のような方針を策定した。

 ▼陸上自衛隊は「北朝鮮本土への上陸」は見送り、在日米軍基地や重要施設の警備、難民対策などにあたる。

 ▼海上自衛隊は米海軍と協力して日本海の封鎖、朝鮮側艦艇の捜索などにあたる。(その際海自艦艇は「北朝鮮の領海まで進出、必要に応じて韓国の米海軍基地に寄港する」ことも研究された)。

 ▼航空自衛隊は「北朝鮮の防空能力が低く空軍戦闘力もさしたる脅威ではない」との判断で、米軍と協力して「北朝鮮本土の戦略拠点への攻撃参加を具体的に検討」した(大野防衛庁長官の発言はこれを指すものと思われる)。

 それによると、米空軍が制空権を確保した後、F1支援戦闘機がF15J戦闘機の護衛のもとに「北朝鮮領空に侵入、軍事基地、弾薬庫など戦略拠点への攻撃を綿密に検討」した。

 F1の発進基地については小松基地(石川県)、美保基地(鳥取県)、築城基地(福岡県)を想定、航続距離の関係で攻撃実施後の日本への帰還は無理と判断、韓国内の米軍基地への着陸や、日本海で機体を捨てパイロットは緊急脱出、海自の艦艇が救出する方法も検討された。

 自衛隊によるこうした「敵地先制攻撃」については、ミサイル攻撃への「自衛権の範囲内」という見解で法的には問題がないとされた。

経済封鎖や 総連弾圧策も

 一方、各段階ごとの対朝鮮経済封鎖や朝鮮総連取締り計画が検討された。

 ▼第1段階=「国連安保理の決議を前提」に、朝鮮への渡航禁止、朝鮮船舶乗組員の上陸禁止など。

 ▼第2段階=対朝鮮輸出入および取引禁止、外国為替・輸出貿易管理法の改訂、朝銀への監査強化など。

 ▼第3段階=海上封鎖への米軍に対する施設・区域の提供、朝鮮 総連の活動制限、「北朝鮮のミサイル攻撃」に備えた避難対策など。

 ▼第4段階=破防法による朝鮮総連の解散指定、米軍への後方支援、有事法制の国会審議など。

 ▼第5段階=米軍の朝鮮侵攻に伴う米日共同作戦体制の始動。(H)

 (大塚智彦「アジアの中の自衛隊」、信濃毎日新聞99年4月8日付、朝日新聞05年4月8日付、産経新聞同日付など参照)

 ※「OP5027」は米軍の秘密作戦計画のうち、米太平洋軍指揮下の米韓共同作戦計画。

 ※「OP5052」は米太平洋指揮下の米日共同作戦計画。

[朝鮮新報 2005.5.7]