日本政府の大罪 遺骨は語る〈1〉 遺骨問題とは |
今年、朝鮮は日本の不法な植民地支配から解放(8月15日)されて60年を迎える。しかし、日本はこの間、侵略の過去を清算しようとしてこなかった。今でも、日本各地には数万人分の朝鮮人犠牲者の遺骨が眠っている。日本は、この事実を知りながら、隠し放置し続けてきた。日本政府は今年度予算に、戦後60周年関連事業として約600億円を計上し、DNA鑑定を含む遺骨の収集も行う。だが、昨年度まで対象は日本人に限られてきた。強制連行され、命まで奪われ、なおかつ遺族に返されることなく埋もれている同胞たちの遺骨。二重三重に人権を踏みにじられた彼らの早急な名誉回復が求められている。 行動伴わない「謝罪」 朝鮮をはじめ、アジアの人々に多大な犠牲と被害をもたらした国がその罪を償うことなく、今では国連安保理常任理事国入りを口にする。繰り返される朝鮮バッシングと一向に改善されない在日同胞への差別政策、さらには歴史教科書の改悪、事実わい曲、政府高官の靖国神社参拝、独島領有権主張…日本の「謝罪」には、まったく行動が伴っていない。 強制連行犠牲者の遺骨問題は、その最たる例である。一刻も早く遺族の元に返還することは、基本的な人権問題だと言える。 人権侵害相次ぎ発覚
昨年、遺骨が安置されている東京・祐天寺、北海道・西本願寺札幌別院、埼玉・金乗院、京都・舞鶴、山口・長生炭鉱などで追悼会と収集、返還などを求める集会が相次いで開催された。 だが日本政府は、遺族らの再三の返還要求にもほとんど応じなかった。そればかりか、追悼会参加のため来日を求めた遺族の入国を拒否し、遺骨の確認を妨害することさえした。さらに、祐天寺の遺骨が偽物だったこと、靖国神社に合祀していた事実も明らかになった。 また、徴用され精神病を患った朝鮮人を、戸籍があったにもかかわらず、帰国させず、約60年間も入院させていた。 1963年、北海道で犠牲となった人の遺族が池田首相(当時)あてに返還を直訴したが、日本の不当な対応によって交渉は断絶。埼玉・金乗院の遺骨に関しては、86、87年に中曽根首相(当時)が送還と調査を約束したが、現在まで放置されてきた。山口・長生炭鉱の件では、92年3月に地元選出の国会議員が国会予算委員会分科会で謝罪と追悼のための取り組みを要請したが、外務省関係者らはあいまいな答弁を繰り返すばかりだった。 日本外務省が2000年に公開した外交記録公文書によれば、日本は47年のGHQ指令に従って旧日本軍人軍属犠牲者の遺骨のうち、南側出身者のものだけを一部返還。「北鮮側が要求しても応じない方針」(同文書)だった。 国際協議会でも議題
国際労働機関(ILO)の条約勧告適用専門家委員会による99年の年次報告書は、日本の強制連行と強制労働が「強制労働に関する条約」(ILO第29号条約)に反すると指摘。正当な補償のための対策を講じるよう求めた。これに対し、日本政府は「戦時補償問題は政府間で解決済み」と主張した。 武力紛争下における戦闘外の者の保護を目的とするジュネーブ諸条約は、遺体の尊重と墓への安置、遺族への送還と情報開示などの必要性を定めている。だが、日本は「第2次大戦期間中には存在しなかった」として責任を回避している。 朝鮮外務省は1月17日に発表した声明で、「恥辱の歴史は否定するからといって変わるものではないし、清算のない反人倫的犯罪には時効がない」と指摘した。 また、盧武鉉大統領は昨年12月の小泉首相との会談席上、民間徴用者の遺骨収集への協力を要請した。南朝鮮の日帝強制占領下強制動員被害真相究明委員会は3月から本格的な現地調査を開始。すでに山口・長生炭鉱、福岡・筑豊などを調査した。 3月末からスイス・ジュネーブを訪れた総連代表団は、国連人権委員会に参加し遺骨問題を初めて提起。国際赤十字にも協力を要請した。5月19日に開催される「日本の過去清算を求める国際連帯協議会」の東京大会でも遺骨問題が議題に上る。 こうした中、日本政府は国内の関連企業約100社を対象に、名簿の有無や遺骨の状況などについて調査し、返還に向け政府内の調整を進める方針だという。だが、北側出身者に対しては不明確で、「調査が形式的なものになる恐れがある」と憂慮する声もある。本気で解決を目指すなら、日本はすべての名簿と関連資料を公開すべきだ。 日本による未曾有の国家犯罪から60余年。いまだ遺族の元、故郷に帰れない強制連行犠牲者の遺骨。日本各地の現状など、今号より連載します。 [朝鮮新報 2005.5.7] |