中学校用教科書検定 「独島領有権」4社が記述 「慰安婦」全社が抹消、「強制連行」2社が減少 |
太平洋戦争の目的について、修正後も「もともと始源の獲得を目的としたものだったが、アジア諸国で始まっていた独立の動きを早めるひとつのきっかけともなった」と、侵略を否定し、美化する記述が残った。 憲法「改正」を強く意識した記述も目立つ。 「慰安婦」は、95年度の申請時に各社がいっせいに記述した。「慰安施設」との表現も含めれば7社が記述。しかし、前回の2000年度検定では1社(慰安施設は2社)に減り、今回申請時にはゼロになった(慰安施設と表現した社が1社残っただけ)。 前回、1社だけ「慰安婦」と記述した日本書籍は、採択率が低迷して倒産し、日本書籍新社が発行を引き継いだ。今回は本文の記述からは削り、元「慰安婦」の賠償請求訴訟に関する新聞記事を掲載した。また、教育出版は、前回の申請時から、「多くの朝鮮人女性なども工場などに送り込まれた」とあいまいな表現に差し替えた。 前回までは全社が記述していた「強制連行」も2社に減り、「強制的に」の文言を削ったり、「動員」と言い換えたりしている。 独島問題についても、「韓国が不法占拠している竹島」と記述した扶桑社は、「外務省のホームページに載っている記述に基づき直した」といい、文部科学省は、「日本固有の領土の竹島について、わが国と韓国が対等に記述されていた」と説明。今後、訂正申請を予定している他の社も「他社に載っているのに取り上げていないと、採択の段階ではねられる」として、独島問題に対してはこれに追随することを検討している。 日本の教科書から「慰安婦」「強制連行」の記述が消えたり、減ったことについて、中山文科相は、「減って良かった」(3月6日)と発言している。 教科書検定は、ほぼ4年に1度のサイクルで行われる民間の教科書会社が申請した本を教科書検定基準に基づいて文部科学省がチェックする仕組み。合格しないと正規の教科書として認められない。 教科書検定結果の公開は25日〜7月29日、東京都江東区の財団法人教科書研究センター第5会議室ほか、北海道、群馬県、静岡県、兵庫県、岡山県、香川県、佐賀県などでも行われる。(金潤順記者)
[朝鮮新報 2005.4.29] |