国連欧州本部で集会 青商会、留学同、朝青代表ら 民族教育権の保障訴え |
【ジュネーブ発=李泰鎬記者】国連の欧州本部(スイス・ジュネーブ)で活動中の総聯の代表団は1日、同本部内の会議場で、在日同胞の民族教育権問題に関する集会を開き、参加した各国代表とNGO関係者らに朝鮮学校に対する差別の現状を訴え、日本政府が差別をやめ民族教育権を保障するよう力を尽くしてくれることを求めた。これに先立ち青商会をはじめとする代表団は3月31日、国連人権委員会で発言し、日本政府による民族教育権の侵害状況を訴えた。 「過去清算の問題」
集会では青商会と留学同の代表らが発言した。 千葉県青商会の姜尚賢副会長は「民族教育権に関する問題は、日本による植民地支配の産物であり、過去清算に関わる問題だ。だが日本政府は、戦後60年が経とうとする今も差別政策を続けている」と指摘し、民族教育擁護のための理解を求めた。 留学同中央国際部長兼西東京本部委員長の金涼子さん、留学同大阪文化宣伝部長の劉由子さんは「約8万人(同胞学生、生徒の8割)が日本学校に日本名で通い、自らの言葉と文化を学ぶ機会が奪われている。日本政府によって自己の尊厳を傷つけられている」と訴えた。 つづいて質疑応答が行われ、参加した北南朝鮮、コンゴ、インドネシア、英国などからの政府、非政府関係者らが、朝鮮学校の現状や差別の実情などについて熱心に質問した。青商会の代表らがそれぞれ回答した。 「慰安婦」映画上映 また集会では、ドイツで行われた映画祭で特別上映され注目を集めた日本軍「慰安婦」被害者の朴永心さん(83、平壌在住)の記録をつづったドキュメンタリーが上映された。朴さんの被害については、米国・ワシントンの国立公文書館に存在する資料や中国在住の証言者などにより「完全に立証されている」(朝鮮人強制連行真相調査団関係者)。 上映後、朝鮮人強制連行真相調査団日本人側全国協議会事務局長の空野佳弘さんと英国のNGO「リバレーション」のマギー・ボーデンさんが発言した。 マギーさんは「『慰安婦』問題で日本政府に対して勧告が行われたが補償はされていない。被害者の年齢を考慮すると、早急に解決しなければならない。今後もキャンペーンを続ける必要がある」と力強く述べた。 国連人権委員会で青商会、初めて発言 一貫した差別、人権蹂躙
一方、青商会の代表らは3月30日に国連人権委員会第61回会議に参加し、議題10「経済的、社会的および文化的権利」でNGO団体International Association of Democratic Lawyers代表の資格で発言、日本政府による民族教育権の侵害状況を訴え、是正を求めた。 青商会代表は、「日本政府は一貫して朝鮮学校を差別している。これは民族文化の維持継承の権利を否定することであり、国際条約で公認された人権に対する蹂躙である。国連の子どもの権利条約委員会は1998年、第1回対日審議において、コリアンの子どもたちへの差別を即時解消するよう求めた。昨年行われた第2回対日審議では、前回の勧告以降も差別が解消されない状況について懸念を表明した。だが、状況は改善されていない。とくに、在日同胞は日本人とまったく同じく税金を納めているが、日本政府は朝鮮学校に対して何の補助も行わない」などと訴え、日本の私立学校に準ずる補助措置を講じるよう求めた。 また、国連人権委員会「教育の権利に関する特別報告官」が、在日同胞の歴史的経緯と問題解決の緊急性を考慮し、緊急に訪日し、民族教育の実情について調査するよう要請した。 発言後、青商会の代表らが報道各社を回り、問題の重要性について述べ、朝青、留学同の代表らが同本部ロビーなどでビラや資料を配布した。 【解説】国連人権委員会は、国連経済社会理事会の補助機関として設置された機能委員会の一つで、国際人権規約の履行状況などを確認し審議する。現在、第61回会議が進行中。会議では加盟各国代表とNGO団体などが発言する。先日、朝鮮代表部が日本政府に過去の清算を求め発言したのも同じ場である。 青商会の代表は、議題10「経済的、社会的および文化的権利」の中で発言した。青商会が国連人権委員会で発言するのは初めて。千葉と岡山の代表が参加した。 これまで、子どもの権利条約委員会、自由権規約人権委員会、人種差別撤廃条約委員会、社会権規約委員会が日本政府に対して差別についての懸念と是正勧告を行ってきたが、まったく改善されていない。 発言後、日本政府の代表らが反論の動きを見せたが、それを察知した朝鮮代表部はすでに対処の準備を整えていたという。 [朝鮮新報 2005.4.7] |