新潟で「北東アジア交流プロジェクト」の総括シンポ 海を渡ってきた食文化 |
新潟日報社など東海(日本海側)の新聞社と関係11都道府県などが展開してきた「北東アジア交流プロジェクト」の総括シンポin新潟(県、新潟日報社など主催)が3月5日、約5百人が参加して新潟市内で開かれた。 「食の宝庫・日本海−豊かな恵みを守るために」と銘打ったシンポでは、新潟県の泉田裕彦知事が「対岸との文化交流を進めるうえで『食』は大切な要素」とあいさつした。 シンポでは鄭大聲・滋賀県立大学名誉教授、小泉武夫・東京農大教授、本間伸夫・新潟県立女子短大名誉教授がリレー講演した。 小泉教授は日本海側の食文化について語りながら、「魚の発酵食品は朝鮮半島や中国の影響を受けて圧倒的に日本海側に多く、複雑多岐にわたる」と指摘、さらにキムチに触れて、「国産キムチの中には発酵させず調味液に漬けただけのいい加減なものもある」と述べながら、「そうした行為は朝鮮文化を侮辱するもの」と批判した。 また、鄭名誉教授は「海を渡ってきた食文化」と題する講演で、いま、日本で使われているさまざまな台所道具も新しい文化として海を渡ってきたと述べ、5世紀頃、日本に渡ってきた「くど」=「かまど」は朝鮮語で「煙突」を意味する言葉であると指摘した。 また、琵琶湖のふなずしは有名だが、米作りの文化圏、ラオス、ベトナム、カンボジア辺りから中国、朝鮮半島を経て日本海沿岸地域にかなり広く分布していると語った。 さらに、日本のキムチの生産量はこの20年で10倍以上に伸びて、伝統的なたくあんの生産量を大きく上回っていると述べて、「もはやキムチは日本の漬物になったといっていい。キムチという言葉にも違和感がなくなった」と語った。 鄭名誉教授はさらに海を渡った食文化の背景を考える時、長い歴史の中で絶えずあった人と人との交流を見逃すことはできないと指摘、「厳しい状況ではあるが、古代から続く長い朝・日の友好の歴史を踏まえて、互いの理解を深め、さらに平和と親善に努めよう」と強調した。 [朝鮮新報 2005.4.4] |