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横田めぐみさんの遺骨鑑定断定的なものではない 帝京大講師が認める

英国の「ネイチャー」誌報道(要旨)

 イギリスの科学専門雑誌「ネイチャー(nature)」の英文ホームページは2月3日付記事の中で、横田めぐみさんの遺骨鑑定をした帝京大学講師の吉井富夫氏が「自分が行った鑑定は断定的なものではなく、また、サンプルが汚染されていた可能性がある」ことを認めていると報じた。記事の要旨を紹介する。

 東京の帝京大学では、遺骨の5つのサンプルを鑑定した結果、2つの骨片からDNAを発見した。しかし、両方とも横田めぐみさんのへその緒から抽出したDNAとは一致しなかった。

 日本をリードする法医学専門家である帝京大学講師の吉井富夫氏は、自分が引き受けた5つのサンプルからDNAを辛うじて抽出できた理由が幾つかあると言っている。その中には、彼がDNAを増幅させるPCR法(the nested polymerase chain reaction)と呼ばれる非常に繊細な方法を用いたという事実が含まれる。

 PCR法では普通、DNAを一度だけ増幅させるが、彼は今回、DNAの増幅を2度行った。また、彼が引き受けたサンプルが他の研究室のものより質が良かった可能性もある。彼は、「誰もが固有の方法をもって」DNAサンプルを扱うとしながら、「標準化されたものはない」と指摘した。

 日本では、火葬された標本(specimens)に対して法医学的鑑定が行われたことはほとんどないし、吉井氏を含むほとんどの専門家たちは、1200度で焼かれた遺骨にDNAは残っていないと考えていた。「私もまったく驚いた」と吉井氏は語った。しかし、遺骨にDNAが残存する可能性があるのは、この温度で焼かれた時間が短い場合だけである。

 「温度だけでは、何も語ることはできない」と信州大学の法医学の専門家である福島弘文氏は述べている。

 しかし、吉井氏は以前に火葬された標本を鑑定した経験はまったくなく、また、彼は自分が行った鑑定が断定的なものではなく、また、サンプルが汚染されていた可能性があることを認めている。彼は「遺骨は何でも吸い取る固いスポンジのようなものだ。事前にいくら徹底的に準備したとしても、もし、遺骨にそれを扱った誰かの汗や皮脂が浸み込んでいたら、それらを取り出すことは不可能だろう」と述べている。

 日本の官吏らは、問題のDNAの再鑑定をおこないたいとも述べている。しかし、吉井氏は、5つのサンプルのうちもっとも大きい1.5グラムの骨片は、鑑定で使い果たしてしまったと述べている。そして、それはすなわち、意見の相違を解決する可能性がほとんどなくなったことを示している。

[朝鮮新報 2005.3.17]