第3回「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」 遺骨問題など話し合う |
北海道が行った強制連行に関する実態調査報告(1999年)によると、道内に強制連行された朝鮮人の数は約14万5000人。うち、犠牲者の数は身元が判明しているだけで2千数百人、その総数は1万人にのぼるとも言われるが、ほとんどの遺骨の行方がわからないままだ。調査実施以降、北海道各地の寺院などで朝鮮人の遺骨が一部みつかったことから、真相究明と返還を求める声がさらに高まっている。2月20日には、3回目となる「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」が開催され、遺骨問題の解決などについて話し合われた。 今後も返還に取り組む
北海道の浄土真宗本願寺派(西本願寺)札幌別院には現在、朝鮮人犠牲者の遺骨101柱が安置されている。同院がこれを公表(2002年12月)したことをきっかけに03年2月、本願寺派住職、総聯、民団などの団体と日本市民らが共同で「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」を結成した。 以降、遺骨返還のための活動過程で、室蘭市の光昭寺に3柱、美唄市の常光寺に6柱、根室市の大徳寺に2柱が安置されていることが明らかになった。 2月20日に開かれたフォーラムには、南朝鮮から招待した遺族と日帝強制占領下強制動員被害真相究明委員会の代表を含む同胞、日本人の関係者、研究者ら約250人が参加した。 フォーラムでは、殿平善彦・共同代表と同院の山内教嶺輪番が調査活動と遺骨返還に向けた取り組みについての経過報告を行い、真相究明委員会の朴起緒・諮問委員長が「真相究明特別法」と光復60周年に関する特別報告を行った。 また、同委員会の崔鳳泰事務局長、同フォーラムの蔡鴻哲・共同代表ら5人のパネラーによるシンポジウムが行われ、遺骨問題の解決について話し合われた。 同フォーラムは今後、遺骨の返還に取り組み、日本政府に事実解明と遺族調査、謝罪と補償を求めていく。 遺骨と対面、個別性なし
今回訪日した遺族は、鉄道工業に使役され1943年2月、旧三菱美唄炭鉱で犠牲となった具然浮ウんの義妹の李善徳さん(73)と甥の具仁書さん(42)、菅原組に使役され1944年4月、千島地方で犠牲となった金u中さんの長男の金敬洙さん(54)。フォーラム関係者とともに2月18日、同院を訪れ遺骨と対面し、問題の経緯を聞いた。また、同院と強制労働に関与した企業が、合葬や返還を怠ったことなどについて謝罪した。 具さんらの遺骨は、1969年と97年の二度にわたって合葬された。完全に個別性は失われ、3つの骨つぼに収められている。石や数珠の玉も混ざっているという。 遺族らはフォーラムの席上、合葬の事実を厳しく非難し「まったく許し難い。日本が強制連行してこんな状態にしたのなら、政府が責任を取るべきだ」と訴えた。 光昭寺の3柱、遺族確認 真相究明委員会の代表らは2月20日に札幌別院を、22日に光昭寺(室蘭市)を訪れ、遺骨の保管状況などを確認した。 一行は、北海道選出の横路孝弘、小林ちよみ・両衆議院議員、高橋はるみ・道知事(昨年に続き不在のため知事室長と面会)、神戸典臣・道議会議長、上田文雄・札幌市長らを表敬訪問し、真相究明と遺骨の返還などへの協力を求めた。崔鳳泰事務局長によると、資料提供などについて札幌市長は協力を約束したという。 同委員会は帰国後、光昭寺の遺骨3柱に関して、本籍地などが記載された名簿から慶尚南道で遺族を探し出した。同フォーラムが返還に尽力するという。 同委員会の代表7人は、2月16〜22日にかけて日本を訪問。細田博之官房長官、谷川秀善外務副大臣らと面会した。全基浩委員長ら一行は、日本政府に対し実務窓口の設置、資料・文書の公開を求めた。また、厚生労働省に遺骨の実態調査のための共同委員会の設置を提案。日本側は可能な範囲内で協力できる部分を検討すると約束した。 同委員会への被害申告は6万件を超えた。 [朝鮮新報 2005.3.10] |