「女性国際戦犯法廷」冒とく許さない 東京で日朝女性たちの緊急集会 |
「(NHK番組に政治介入した)安倍晋三氏が居直ることを許してはならない。表現の自由が侵害されつつある日常は、ファシズムの見えない根が生えめぐっているということだ」(福島瑞穂社民党党首)、「特に許しがたいのは女性国際戦犯法廷に対する無知と無理解をさらけ出した政治家たちの強弁が、十分な検証を経ないままにメディアにたれ流されていることだ」(西野瑠美子・VAWW−NETジャパン共同代表)−。既報のように、1日、衆議院第2議員会館で開かれた日本軍性奴隷制を裁いた「女性国際戦犯法廷」に対する冒とくとひぼう中傷を許さない日朝女性の緊急集会には、約200人の女性たちが駆けつけた。この法廷に難癖をつけて、朝鮮を誹謗中傷し、戦争熱を煽る日本の一部の戦争勢力の企図に対して、厳しく断罪する声が相次いだ。 「戦争勢力の底意見抜き今こそ日朝国交正常化への道へ」 民主党の石毛^子衆院議員は「NHKの番組改ざんは、現在の政治とメディアの深刻な危機をあらわにするもので、表現の自由を抑圧し、ひいては日本の民主主義を根底から踏み躙るものだ」と強い危惧の念を表した。さらに小林千代美・衆議院議員は「いつの間にか、この問題が『NHKVS朝日新聞社』という構図の中に押し込められ、ことがらの本質的な意味が隠されつつある」と指摘しながら、「今年は敗戦60年を迎える年。しかし日本は『慰安婦』問題も強制連行の問題も解決していない。この問題の真の解決のために闘い続けよう」と語った。 ものすごい危険感 西野瑠美子さんと福島瑞穂さんは、ウソでねじ曲げられた相次ぐ安倍発言について「ものすごい危機感を抱いている」としたうえで、「天皇の戦争責任を裁いた歴史的な民衆法廷を『北の工作』などと貶めているのは、過去の清算をきちんと果たし、アジアの民衆と平和で平等な関係を築こうとする市民の動きを妨げるもの」だと指摘した。 また、金昭子女性同盟中央委員長は、安倍氏の一連のデタラメ発言について「北の工作員とさえ言えば、何もかも正当化できると考えているらしく、これほど朝鮮人民を侮辱し、そればかりか日本国民と世論を無視した発言をどうして許すことができるのか」と強く非難した。 清水澄子・朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会代表も、「(女性法廷に参加した朝鮮代表団)は南北共同検事団を構成し、共同起訴状を作り上げるべく不眠不休で共同作業に臨んだ」と振り返り、「彼らの朝鮮民族の尊厳を取り戻そうとする力強さと勇気、並々ならぬ努力に深い敬意を抱いた」と述べた。さらに同氏は一連の安倍発言に抗議し、撤回を求めた。 分断利用する企み また、南朝鮮の梁美康「アジアの平和と歴史教育連帯」常任共同委員長は、「女性法廷の実現のために松井やよりさんらと共に準備段階から最後まで関わった」と指摘したうえで、「(女性法廷は)被害国の南北朝鮮が一つになって、正義と民族の尊厳の回復のために力を合わせた民族史的な運動であった」と位置づけた。 さらに「北の工作員」と安倍氏が決めつけた黄虎男氏は10年来、共にこの運動を担ってきた知己であり、「もし彼が工作員であるなら、南の国家保安法によって私はこの場には出られなかった」と指摘。 安倍暴言は何の根拠もないでたらめであると厳しく批判したうえで「こうした安倍氏のウソは、南北が一つになろうとする動きを妨害するものだ」と断じた。そして「朝鮮半島の分断を利用して日本が得ようとするものは何なのか。一連の騒ぎは、日本社会に対して深刻な事態をもたらすことになるだろう」と警鐘を鳴らした。 真の平和構築こそ
また、この日の集いでは、会場からも発言が相次いだ。 中原道子・早稲田大学教授は「女性法廷は、市民による民衆法廷だから、法的拘束力はない。 しかし、1960年代、サルトルやボーボワールを中心に民衆がベトナム戦争下の米軍を裁いた『ラッセル法廷』は、国家権力から自由なために普遍性を獲得したと評価された」と指摘。同様に「女性法廷」は世界中の女性たちによって支持されていると述べ、戦時下の性暴力が長い間裁かれなかった理由の一つは、「国際法を支配していたのが男性だから」と歴史や国際法を女性の手に取り戻そうと述べた。 また、都内の在日同胞女性は「安倍発言の芯は米国の戦争への支援拡大、日本の一層の自主武装化、戦争構造の増強にある。メディアが北朝鮮を暗黒、悪魔と書き立てながら、ウソの情報をたれ流している。ジャーナリズムが平和的論理性を失い、マスコミが翼賛化した今、真の平和構築には、こうした戦争勢力の底意を見抜き、朝鮮との国交正常化と平和交流の道に踏み出すしかない」と訴えた。(朴日粉記者) 日本婦人連絡会が声明発表 1日、朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会はNHK番組への政治家らの政治介入問題で「声明」を発表し、安倍自民党幹事長代理の「北の工作員」発言に強い疑義を呈し、この発言の撤回を求めた。 [朝鮮新報 2005.2.5] |