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そこが知りたいQ&A−NHK番組改ざん 何が問題なのか?

 Q 「NHK番組改ざん」何が問題なのか。

 A NHKは01年1月に特集番組「戦争をどう裁くか」(4回シリーズ)の第2回として、00年12月に東京で開かれた「女性国際戦犯法廷」を素材に「問われる戦時性暴力」というタイトルで番組を企画した。「法廷」は、日本軍性奴隷制(「慰安婦」制度)を裁く民衆法廷で、8カ国から64人の被害女性を含め、内外から5000人近くが参加、世界的に著名な国際法の専門家である裁判官たちが「昭和天皇有罪、日本国家に責任」という歴史的な判決を下した。しかし放送された内容は、日本軍性奴隷制という戦争犯罪を隠し、「法廷」の意義を矮小化、わい曲したものだった。

 Q 番組はどのように改ざんされたのか?

 A 歴史的判決は、海外で大きく報道されたが、国内メディアは天皇と「慰安婦」という2大タブーに挑んだこの「法廷」をほとんど黙殺した。そんな中、NHKは「女性国際戦犯法廷の過程をつぶさに追い、半世紀前の戦時性暴力が世界の専門家によってどのように裁かれるのかを見届ける」との企画案のもと、主催団体の一つであるVAWW−NETジャパンに取材協力を依頼。同団体もそれに応じて「法廷」の準備段階から開廷、その進行内容まで全面的に協力した。しかし、放送された番組では、「法廷」のフルネーム、「日本軍」や「性奴隷制」などのキーワード、「法廷」会場内の光景、主催団体、主催者の発言、判決についてもカットし、一言もふれなかった。逆に、右翼学者の「法廷」批判と「慰安婦の強制連行はなく、売春婦である」などという暴言を紹介。カットした分を、「法廷」 の趣旨とは関係ない「慰安婦」損害賠償請求訴訟やアジア国民基金の紹介、前日放送した画面を繰り返して流すことで時間を費やし、予定より4分間短いという前代未聞の内容に改ざんされた。

 Q 番組の改ざんには、政治家が「圧力」をかけ「介入」したと指摘されている。

 A 朝日新聞は12日、同番組の内容が現在の安倍晋三自民党幹事長代理と中川昭一経済産業相らの圧力によって、放映直前に日本の戦争責任を覆い隠す方向で大幅に修正されたと伝えた。また、翌日にはNHKの長井暁チーフ・プロデューサー(番組の現場制作責任者)が記者会見して、朝日新聞報道を裏づけた。

 Q 安倍氏は、批判をかわすために問題の議論を意図的にすり替えようとしているようだが。

 A 「法廷」を「とんでもない模擬裁判」、拉致問題から世論の目をそらし「北朝鮮を被害者にするための大きな工作」、朝鮮側の参加者は「工作員」だなどとの事実わい曲もはなはだしい暴言を繰り返している。

 Q 本来、政治家とは良識あるべき存在だが。

 A そうだ。しかし安倍氏はほど遠い。拉致問題が表面化したのは02年9月17日の朝・日首脳会談以降で、「法廷」はその約2年前に開かれた。また「工作員」と安倍氏がいう黄虎男氏は、民間交流の窓口である朝鮮対外文化連絡協会の役員で、マスコミはじめ日本の各界人士に広く知られており、2回にわたる朝・日首脳会談の朝鮮側通訳をつとめた公の人物。また鄭南用氏は朝鮮の権威ある法学博士である。

 NHKの番組改ざん、番組制作に圧力をかけ、その一方での一連の安倍氏の暴言は、20万人ともいわれる朝鮮やアジアなどの女性に「従軍慰安婦」を強要し、人間としての尊厳を蹂躙した類例のない戦争犯罪を糾弾する世界の良心を踏みにじり、被害者をおとしめる許しがたい行為である。

 Q 安倍氏の暴言に対して主催団体や総連中央は撤回、謝罪を求めているというが。

 A そうだ。総連中央は国際局長が18日に記者会見を開いて談話を発表し、ウソの発言の撤回と謝罪を求めた。VAWW−NETジャパンも抗議文を送り同様のことを求めている。安倍氏らは番組改ざん、「政治介入」問題、そして一連のウソの発言に対して事実を明らかにすべきである。

日朝女性の緊急集会

 2月1日午後1〜3時、東京・衆議院第2議員会館第1会議室で「『女性国際戦犯法廷』に対する冒とくと誹謗中傷を許さない 日・朝女性の緊急集会」が同実行委員会の主催で開かれる。発言者は、西野瑠美子・VAWW−NETジャパン(「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク)共同代表、清水澄子・朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会代表、金昭子・在日本朝鮮民主女性同盟中央本部委員長、梁美康・「アジアの平和と歴史教育連帯」常任委員長(南朝鮮)。要請文も採択される予定。12時30分集合。交通=営団地下鉄丸の内線・千代田線「国会議事堂前」1番出口、有楽町線「永田町」1番出口。

[朝鮮新報 2005.1.29]