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NHK裁判 高裁裁判長 結審せず4月に期日指定

内部告発で慎重判断

 NHKが01年1月に放映した「女性国際戦犯法廷」に関する番組で異常な改ざんを行ったとして、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW−NETジャパン、共同代表=西野瑠美子)が、放送、製作に関わったNHKなどを相手取り起こした控訴審口頭弁論が17日、東京高裁812号法廷で行われた。

控訴審口頭弁論の後、記者会見するバウネットの弁護団

 裁判は、NHKがETV特集としてこの「法廷」を記録する番組の制作を企画したが、番組放送中止を要求する圧力により、番組内容が大幅に改ざんされ、「法廷」のフルネームも、主催者も、起訴内容も、「天皇有罪、日本の国家責任」を認める判決も全く紹介されず、「法廷」を評価する解説者のコメントもカットし、「慰安婦」制度は売春で証言は根拠がない、などという右翼学者のコメントを長々と流すという大幅に異なる内容になっていたことに対し、バウネットらが、番組を制作したNHKなどに対して、視聴者に誤解と偏見を与え、被害女性たちを侮辱し、「法廷」を開いた人々の名誉を傷つけるものとして、東京地裁に提訴したもの。東京地裁は昨年3月、取材交渉を行った制作会社に100万円の支払いを命じたが、バウネット側は、「判決は下請け会社にのみ責任を押し付け、NHKの編集権が大幅に認められ、『権力からの自由』というメディア本来の役割を萎縮させかねない危険なもの」として東京高裁に控訴。

 秋山寿延裁判長は当初、この日で結審する意向を示していたが、番組改ざんに関して中川昭一、安倍晋三両自民党国会議員の圧力があったことが報じられ、内部告発者が実名を明かして記者会見するなど新たな展開を見せている中、予定を変更し、政府幹部らがNHKに番組内容の申し入れをしたとされる問題について、双方に主張を尽くすよう求めた。

 次回期日は4月25日。それまで原告側が主張の書面を提出し、その後NHKなどが反論する。

 バウネット側は、事実を隠し、司法の場において偽証を続けてきたNHKに対して強く抗議している。またひん繁にマスコミに登場し、自らの行為を正当化し、世論を味方につけようとしている安倍氏の事実わい曲発言を取り上げ、マスコミ各社に事実を正確に知らせるよう呼びかけた。(潤)

[朝鮮新報 2005.1.24]