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朝鮮外務省代弁人 国連人権委の「北朝鮮人権状況」決議を非難する談話

 朝鮮外務省スポークスマンは11月21日、国連総会第3委員会で17日に採択された「北朝鮮人権非難決議」を非難する談話を発表した。要旨はつぎのとおり。

「制度転覆」が目標

 「決議」は、人民大衆中心の朝鮮式社会主義制度の優位性を否定し、その対外的イメージを傷つけて荒唐無けいな「制度転覆」の目標を達成するために虚偽ねつ造した資料で一貫している。

 われわれは、米国と欧州連合(EU)が人権の論議を発展途上諸国、反米、自主的な国々に対する不純な目的に悪用していることを糾弾し、国連総会第3委員会で強圧採択された反朝鮮「人権決議」をわれわれの神聖な自主権を籠絡し、踏みにじる不法な文書として断固反対し排撃する。

 米国は、今回の反朝鮮「決議」採択を主導した張本人である。

 わが制度に対する体質化された拒否感を持っている現米政府は、「先核放棄」を通じた武装解除が実現不可能になるや、「人権」の看板を掲げて卑劣な「制度転覆」企図実現に拍車をかけている。米国は、毎年「人権報告書」の発表を通じて朝鮮を中傷、冒とくしており、2004年には「北朝鮮人権法」まで採択して反朝鮮陰謀策動に数千万ドルをつぎ込んでいる。米国は「北朝鮮人権法」を、わが体制を「核と人権という2つの側面から圧力をかける枠組み」「脱北者保護の名分のもとに体制崩壊を企む戦略」に掲げ、すでにそれを本格的に発効させる段階に入った。

 ブッシュ政権は「決議」表決の直前も、CNNをはじめ米国のマスメディアなどを引き込んで反朝鮮「人権」キャンペーンを大々的に繰り広げた。これにとどまらず、「北朝鮮の人々が自由を求めて立ち上がる時、米国もともに立っているであろう」と露骨に唱えて朝鮮の内部に体制転覆勢力をつくろうと策動している。

 「決議」は結局、朝鮮の「制度転覆」を目標として自分らの「人権攻勢」に「国際社会の一様なメッセージ」というベールを被せるために米国がねつ造した政治的謀略文書である。

 こんにち、国際舞台で世界最大の人権侵害国が「人権裁判官」に変身したことが人類最大の不幸であり恥である。

 米国が典型的な人権侵害国であるというのはイラク事態でさらに明白に実証されている。米国は、イラクで「対テロ」の美名のもと、劣化ウラン弾と化学兵器をはじめ大量破壊兵器を平和的住民の頭上に降らせ、当局の指示のもとに世界の多くの国に秘密の監獄を設置し、収監者に拷問を加えている。

 このような米国には、誰かの「人権」について論じる道徳的、法的権利はない。

 EU諸国が人権問題にそれほど関心が深く、国連の舞台で人権問題をそんなに扱いたければ当然、米国の重大人権侵害行為から問題視すべきであろう。しかし、英国をはじめ一部のEU諸国はこれについては一言も言えず、発展途上諸国の人権だけを選択的に問題視している。これがはたして、心から人権を保護、増進しようとすることであるのか、さもなければ自らの過去と現在の人権侵害行為を覆い隠すための煙幕が必要であるからなのか、その真意を問わざるをえない。

対米追従する英日

 今回、反朝鮮「人権決議」発議の先頭に立った英国や日本のような国々が20世紀に多くの国を侵略して植民地にし、それらの国の人民の血と汗で肥大した国々だということに注目している。世紀が替わった今になっても名分のないイラク戦争に加担して罪なき住民を殺し、主権国家を廃虚にしたのも英国である。

 英国における暴力的な人種主義と民族排外主義、少数民族と移民差別、警察の残忍性などは国際社会だけでなく、国内でも大きな憂慮をかもし出している。

 日本は、人権問題の論議はおろか、国際社会の責任ある一員になる資格もない戦犯国である。日本は、こんにちも自らの特大型反人倫犯罪に対して謝罪はおろか、罪悪に満ちた自国の侵略史を粉飾し、当局者をはじめ政治家が「靖国神社」参拝を正当化するなどして国際社会の大きな憤りと糾弾の対象になっている。

 こうした事実にもかかわらず、これらの国々は世界が自分らをどう見ているのかも知らず、歴代を通じて体質化された対米追従根性から米国の奴僕役を演じている。

 われわれはまた、今回の「決議」の共同発議国となった国々とそれを支持した国々についても指摘せざるをえない。米国のそそのかしと圧力、操りのもとに「決議」の採択に加担した国々は誰かの恩恵に浴するだろうと誤算してはならない。米国は、決して彼らが思うような「信義のある」国ではない。目前の利益のために荒唐無けいな夢を持って他国の利益を侵害した国々は、いつかは深く後悔することになるであろう。

人道的協力の本質

 われわれは今回の「決議」を通じて、米国とEUが唱える人道的協力の本質についてさらにはっきり知るようになり、人道的協力を終了することにしたわれわれの措置がどれほど時宜にかなっており、正当であったのかをあらためて自覚している。

 米国とその追従国が今回の「決議」でわれわれの人道的協力終了措置を非難したのは、決して人権が憂慮されるからではなく、協力のテコを悪用してわれわれに対する内部偵察を続け、「制度転覆」の足場を築くところにその目的があるということがより明白になった。

 最近、われわれは国の食糧状況が著しく改善されたのに合わせて国際的な人道的協力を終了することにした。われわれは、これが国際社会の負担を減らすことにも有利であろうと見なした。ところが、奇怪にもわれわれに人道的協力が差し迫っていた時は政治的条件を掲げて協力の提供に必死になってハードルを設けていた米国と日本のような国々が、今になってわれわれの協力終了措置を「人権」と結び付けている。

 現情勢に対処して、われわれは人道的協力を終了するための行動措置を取らざるをえなくなり、結局、米国と英国などEUの「決議案」発議主導勢力は、われわれは言うまでもなく人道的協力機関まで被害者にしてしまった。

 米国とEUが主導した今回の「決議」採択を通じてわれわれが再度痛感するのは、強者には犯罪も善行となり、弱者には善行も悪行になるというのがこんにちの国際人権舞台の厳然たる現実であり、したがって、人権を守るにはまず、国権がなければならないし、国権を守るには強力な抑止力がなければならないということである。(朝鮮通信、中見出しは編集部)

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「制度転覆」企図を強調 「政治目的のための人権乱用」

[朝鮮新報 2005.12.2]