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〈朝・日政府間協議の再開〉 日本の「真意」見極める場に

 【平壌発=金志永記者】9月に開かれた第4回6者会談第2ラウンドの場で、朝・日両国代表団団長は朝・日関係問題を協議するための政府間対話を再開することに合意した。対話の再開は日本側の提案だった。

 対話再開が合意されたのは、朝鮮側が6者会談期間中に日本側が見せた「前向きな姿勢」をある程度評価したからだろう。

 このような経緯からすれば、再開される政府間協議での成果いかんは、日本側がどんな姿勢で対話に臨むのかにかかっている。

誤った日本の情報分析

 今回の対話再開と関連し、日本国内の一部では第4回6者会談第2ラウンドの直前に行われた衆院選で 「『小泉』自民党が圧勝」したことが大きく作用しているという分析が行われた。

 2回も平壌を訪問した小泉総理の「権力基盤」が強化されたのだから、この機会を逃してはならないと朝鮮側が動いたというのだ。

 こうした分析はまったくの誤りであり、朝鮮の政策的意図を見誤らせる原因の一つになっている。

昨年11月、平壌での朝・日間実務接触、朝・日関係正常化のカギは日本の過去清算(写真は昨年11月、平壌での実務接触)

 朝鮮は、どの国に対してもその国の内政の変化に合わせて、その時ごとに外交政策の原則を変えたりはしない。

 この間、朝・日政府間協議が中断されたのは、日本側が横田めぐみさんの遺骨鑑定結果をもって対決姿勢を露わにしたからだった。

 第4回6者会談第1ラウンドの時点でも、日本の姿勢に変化は見られなかった。

 日本側団長は、核問題を討議する会談の基調報告で拉致問題を取り上げた。

 朝鮮側団長が会談期間中、日本側団長を相手にしなかったのはそのためだ。

 第2ラウンドでは、日本側団長は拉致問題を取り上げなかった。

 その期間中に行われた朝・日間の接触では、日本側団長が平壌宣言の履行と 「過去の清算の必要性」について言及したという。

 朝・日政府間協議の再開合意は、その延長線上でなされたものだ。

 朝鮮側は、日本側の姿勢を冷静に判断したうえで行動している。

 第4回6者会談で発表された共同声明には「朝鮮と日本は平壌宣言に従って不幸な過去と懸案の憂慮事項を解決する基礎のうえで、関係正常化のための措置をとることにした」ことが明記された。

 しかし、それ以降の日本側の態度を見ていると、政府間協議に臨む姿勢があいまいだといわざるをえない。

 政府間協議再開の場所について当初は平壌、北京を提案し、これに朝鮮側が平壌開催を返答するや東京、北京と変えてきた。

 政府間協議の再開において重要なことは場所ではない。

 本当に対話をしようとするなら、それを提案した側がその実現のために努力をすべきだろう。

 一方、日本の政界とメディアの間から「『平壌宣言に沿って核、ミサイル、拉致問題を包括的に解決して関係を改善』することが日本の立場だ」という声が上がっている。

 両国間の関係正常化のための政府間接触の場で、日本の過去清算問題の論議を朝鮮側が主張することは明白なのに、「包括的」という表現によって問題の焦点がいつのまにか変えられた。

 「(衆議院選での自民党圧勝が)朝鮮側を政府間協議再開へと向かわせた」という宣伝によって、「それでも北朝鮮は柔軟姿勢に出てくるだろう」という誤った認識が作用しているのだ。

基本は過去清算

 朝鮮外務省関係者によると、朝鮮政府は再開される協議に平壌宣言履行のための「実質的な進展」をもたらす立場で臨むという。

 日本の政界、言論界では小泉総理の「第3回平壌訪問」の可能性が取りざたされている。しかし現在の朝・日関係は2回の訪問前より悪化している。

 その原因は、朝・日関係の改善を望まない極右保守勢力が朝鮮に対する敵対的な雰囲気を鼓吹するため、あらゆる手段を動員して平壌宣言の履行にブレーキをかけているからだ。

 再開される政府間協議が「対話のための対話」に終止するのなら、悪化した状況は変わらないだろう。

 6者会談で共同声明が発表されるなど、朝鮮半島情勢には新しい変化のきざしが現われている。

 日本はどのような形であれ、朝鮮との対話窓口を維持することを当面の対応策としているのかもしれないが、朝鮮側には日本と一緒に時間を浪費する消耗戦を行う理由はない。

 核、ミサイル、拉致を包括的に解決して関係を改善するということは、3つの問題の中でひとつでも解決できなければ関係改善をしないということになる。

 朝・日平壌宣言の基本精神と原則は過去清算である。日本が犯した過去の清算こそ朝・日両国の関係正常化のために解決されなければならない問題である。

 日本の過去清算は核、ミサイル、拉致の三つの問題が存在する前に、すでに解決されていなければならなかった。朝鮮外務省関係者は、「日本は自分のなすべきことをわきまえなければならない」と語っている。

 平壌宣言の基本精神から離脱したいかなる主張も朝鮮側が受け付けないことは、日本政府も周知のことだろう。

 再開される朝・日政府間協議は、対話再開を提案した日本の「真意」を見きわめる場となるだろう。

[朝鮮新報 2005.10.23]