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〈本紙記者ルポ〉 様変わりした南社会 和解、団結新たな段階に

 8.15族大祝典取材を通じて見えてきたのは、南の社会が大きく変化していることだ。

反統一勢力を取り締まり

16日午前に行われた部門別交流会の政治分科

 14日午後、開幕式に先立って行われた大行進出発式会場付近で、右翼保守勢力グループを、警察が取り締まっている姿が目撃された。

 このグループは、8.15民族大祝典に反対し、親北ムードの広がりに冷水を浴びせる目的で記者会見を開く予定だったが警察に阻止され実現しなかった。

 警察はまた、これらグループによる突発的事故を未然に防ぐため携帯用消火器まで備え警戒態勢を敷いたという。

 過去、南では民主化と祖国統一をめざして立ち上がった多くの学生が連行されたが、今では反統一勢力がその対象になっている。

 北側代表団が14日に訪れた顕忠院近辺でも、右翼保守勢力が連行される光景が繰り広げられた。南の社会が大きく変化していることをうかがわせる一つの象徴的な出来事だ。少なくとも、今回の大祝典をめぐって過去にはない変化が起きていることはまちがいない。

歓送宴で談笑する8.15民族大祝典参加者

 大祝典には汎民連(祖国統一汎民族連合)南側本部議長、韓総連(韓国大学総学生会連合)議長をはじめ「不法団体」のらく印を押された団体のメンバーが堂々と参加した。

 今回、北側の代表らが訪れた先々で多くの市民が歓迎に繰り出し、さながら統一ムード一色であった。市民らは、「祖国」というかけ声に「統一」「われわれは」には「ひとつ」で応えていた。

 かつては、物々しい警備のため、北や海外代表らは一般市民との接触を遮断されたものだが、今回は市民との接触も自由に行われた。こちらも拍子抜けするほどだった。もちろん、保守団体の動きを警戒するための警備は存在したが、これも代表たちの身辺の安全と便宣を図るレベルで実現したものだった。

 マスコミの論調にも変化が見られた。開幕式で演説した鄭東泳統一部長官の民族自主志向発言は、保守色の強いメディアが幅をきかせていた時代なら、議論が噴出していたはずだ。

 しかし、大多数のメディアがこの発言を問題視するよりもむしろ、顕忠院を訪れるなど、分断の歴史をきちんと清算しようとする北側の勇気ある決断を評価し、和解、団結の新たな気流に期待を寄せる方向に重きを置いていた。

古い慣例、慣習から脱却

 金正日総書記は6月17日、平壌を訪れた鄭東泳統一部長官と面談し北南関係発展のための原則的問題と懸案問題を明確にした。これを機に北南関係は新たな活力を見いだした。

 その後、ソウルで開かれた第15回北南閣僚級会談(6月21〜24日)で双方は古い慣例や慣習から脱却して実質的に問題を解決する実利重視の対話を行った。こうした流れは、その後に開催された経済協力推進委員会第10回会議をはじめとする対話の場でもうかがえた。

 今回の大祝典では画期的な出来事があった。

 前述したように、北側当局代表団の金己男団長、北側準備委員会の安京浩委員長をはじめとする30余人が朝鮮戦争時の戦死者が祀られている顕忠院を参拝したのだ。分断史上初のことで、北としては「難しい決断だった」という。北側関係者は、6.15時代にはすべてを超越しなければならない、時代精神に即して古い慣習から抜け出し、和解、協力へと進まなければならない、と語った。

 民族統一大会でスピーチを行った代表たちも口をそろえてこの点を強調した。

 安京浩委員長は「同族である北と南の間には、互いに不信を抱き対決すべき何らの理由もなければ、脅したりたたかわなければならない根拠などさらにない。不信と対決のあらゆる古い慣行と慣習、制度をなくし、信頼と団結に基づいた6.15時代の新しい慣行と慣習を創造すべきだ」と述べた。

 南側準備委員会の白楽晴常任代表は、「互いに敵視する制度と慣行を早急に改革すべきだ。60年間、南と北に形成された固有の制度と文化を尊重しつつ変化した南北関係を反映する新しい制度を設けるべくわれわれすべてが先頭に立つべきだ。分断の足かせから脱却させる『相生』の共助を始めるべきだ」と語った。

 大会で採択された「7千万同胞に送るアピール」にも「対決と不信のあらゆる遺物を清算し、分断時代の古い制度と観念を改革しよう」との下りが盛り込まれた。

 古い時代の思想対決、理念対決の観点から抜け出し民族共同の利益を優先させようとする流れは、今回の大祝典を契機に、各分野でもますます進んでいくものと思われる。

 北南関係は、過去には想像もできなかった新しい時代へと、完全に突入しつつある。(姜イルク記者)

[朝鮮新報 2005.8.25]