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朝鮮のこれまでの努力−50年代からの提案と合意 「非核化は主席の遺訓」

 北京で開かれていた第4回6者会談は7日、いったん休会した。29日から始まる週に再開される予定だ。朝鮮側代表団長の金桂官外務次官は休会に先立ち、「朝鮮半島非核化を会談の最終目標に定めるうえで共通の認識が持てたこと」を評価した。金正日総書記は鄭東泳・統一部長官との「6.17面談」で、「非核化は金日成主席の遺訓」だと述べた。主席の遺訓は必ず実現されることを前提としており、主席の生前にもそのための努力が傾けられてきた。非核化に向けた朝鮮側の主な提案、合意事項について見た。(文聖姫記者)

軍縮問題関連宣言(56年11月7日)

 1956年11月7日の朝鮮最高人民会議第1期第12回会議で提案、採択された。同宣言の中で、核兵器の南朝鮮搬入に強く反対しなければならないことが明記された。

 同年5月31日、朝鮮政府は、8月31日までに8万人の兵力を縮小すると発表した。同宣言はこの前提に基づき、南に対して現有兵力を縮小するよう求めるとともに、「同じ民族を大量殺りくし、大きな不幸に陥れる危険をはらむ」核兵器の搬入に反対するよう主張した。

 核政策に関して、どの地域に、どれほどの数の、どういう種類の核兵器を配備しているかについてはいっさい明らかにしてこなかった米国だが、朝鮮半島では違った。朝鮮戦争を前後する50年代、公然とその存在を誇示するに至った。

 朝鮮半島の南に米軍核が最初に導入されたことが確認されたのは58年2月3日。米国はソウル近郊の議政府の米第一軍団飛行場で核砲弾用の280インチ砲と核ミサイル「オネスト・ジョン」をそれぞれ2基ずつ公開した。

 この宣言も、こうした脈絡から出されたものといえる。

朝米+南の3者会談(84年1月10)

 1984年1月10日に平壌で開かれた朝鮮中央人民委員会と最高人民会議常設会議の連合会議で提案した。骨子は、朝米会談に南朝鮮当局も参加させ3者会談を行おうというもの。

 連合会議では、「朝鮮半島で緊張状態がいつにも増して激化し、戦争、とくに核戦争の危険が急激に増大している」と、3者会談提案の理由を説明した。

 議題としては、@朝米間に平和協定を締結し、米軍を南朝鮮から撤退させる問題A北南間で不可侵宣言を採択する問題―を挙げた。朝米関係を平和的関係に転換させるには、とくに南朝鮮から米軍の核兵器を撤去させるべきだと強調した。

 そのうえで、朝米間に平和協定が結ばれ、北と南の間で不可侵宣言が採択されれば、朝鮮の自主的平和統一に有利な前提ができることから、北南対話も実現すると指摘した。

 連合会議では、このような内容を盛り込んだ手紙を米政府、議会、ソウル当局に送った。

朝鮮政府声明(86年6月23日)

 1986年6月23日に発表された。

 声明は、朝鮮政府が南朝鮮からすべての核兵器を撤収させて朝鮮半島を非核地帯、平和地帯に変える方案、朝米、南当局が参加する3者会談開催提案などを行ったことに触れた。しかしこれら提案がどれ一つ実現されず、その反面、米国が南に広島型原爆の一千倍の爆発力を持つ千余個の核兵器を搬入しているなどと指摘。朝鮮半島を核兵器、核基地のない非核地帯、平和地帯化する措置を講じるための、次のような立場を表明した。

 @核兵器の実験、生産、貯蔵、搬入を禁止し、核基地を含むすべての外国基地の撤廃、外国のすべての兵器の朝鮮の領土、領空、領海通過を認めない。

 A米国は今後、南への核兵器搬入を中止するとともに、すでに搬入したすべての兵器を段階的に削減して、最後にはすべて撤収させる。

東北ア非核、平和地帯に関する共同宣言(81年3月16日)

 1981年3月16日、朝鮮労働党と訪朝した日本社会党との間で結ばれた。両代表団は3月14日に会談し、東北アジアにおける非核、平和地帯創設に関する見解の一致を見て、共同宣言を発表するに至った。

 宣言では、東北アジア地域に展開されているすべての核兵器を撤去し廃棄しなければならないこと、同地域で核兵器と生物化学兵器の開発、実験、生産、所有、運搬、貯蔵、搬入、使用をいっさい禁止すること、外国の軍事基地と軍隊を撤退させることなどが盛り込まれた。

 また、ここで言う東北アジアの非核、平和地帯の範囲は、朝鮮半島と日本およびその周辺海域だとされた。

北南非核化共同宣言(92年2月20日)

 1991年12月31日に採択され、翌92年2月20日の第6回北南高位級会談で、「北南の和解、不可侵及び協力、交流に関する合意書」とともに発効された。正式名称は「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」。

 宣言は、北と南が@核兵器の実験、製造、生産、搬入、保有、貯蔵、配備、使用をしないA核エネルギーを平和目的にのみ利用するB核再処理施設とウラン濃縮施設を保有しないC朝鮮半島の非核化を検証するため、相手側が選定し双方が合意する対象に対し、北南核管理共同委員会の規定する手続きと方法で査察を実施する−など6項目からなる。

 同宣言によると、現在6者会談で焦点となっている核の平和利用は認められる。

 金正日総書記は「6.17面談」で、「朝鮮半島の非核化宣言は依然として有効」である点を強調した。

朝米基本合意文(94年10月21日)

 1994年9月23日から10月21日までジュネーブで行われた会談を経て、10月21日に採択された。

 合意文には、朝鮮半島の核問題解決のための朝米双方が取る行動措置が明記された。

 合意文では、米国が2003年までに合わせて200万キロワット発電能力の軽水炉を朝鮮に提供するための措置を取ること、1号軽水炉が完工するまで、朝鮮の黒鉛減速炉と諸関連施設の凍結によるエネルギー損失を補償するための措置を取ることが明記された。

 一方、朝鮮側は軽水炉提供と代替エネルギー補償に対する米国の保証を得たうえで、黒鉛減速炉と諸関連施設を凍結し、究極的には解体するとしている。

 また、朝鮮半島の非核化、平和と安全のために共同で努力する点において、米国は朝鮮に対し核兵器を使用せず、核兵器で威嚇もしないという公式保証を与えることが記された。

[朝鮮新報 2005.8.19]