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明日から北京で6者会談 朝米共存基礎に信頼関係 核問題解決へ実際的方途を

 朝鮮半島の核問題を話し合うための第4回6者会談が明日26日から北京で開かれる。13カ月ぶりに再開される会談ではどんな協議が予想されるのか。

「合意の基礎復旧」

 朝米が6者会談再開で合意した今月9日の団長接触(金桂官外務次官とヒル国務次官補)。朝鮮側は、米国側が▼朝鮮が主権国家であることを認め▼侵攻の意思がなく▼6者会談の枠内で朝米双務会談を行う立場を表明したことを評価した。この3つは、朝鮮側が再三求めてきた会談参加のための名分。この立場表明を「暴政の前哨基地」発言撤回と理解した。

 これは今回の会談再開の前提。つまり、「会談の基礎が復旧」(朝鮮外務省スポークスマン)されたといえる。

 その前提に立って再開される会談で、朝米双方は「成果を出さねばならないとの点で同意した」(上記団長接触)。

 労働新聞18日付は、「6者会談が全朝鮮半島の非核化を実現するための会談になるためには、米朝双方が核問題解決のための実際的方途を見つけるのが重要」だと指摘したうえで、基本となるのは朝米の共存に基づき信頼関係を樹立することだと強調した。

 では、実際的方途とは、どんな内容が予想されるのか。

 一つの参考になるのは、「会談を進展させる一部共通の要素も見られた」と朝鮮側が評価した、昨年6月の第3回会談での朝米双方の主張だ。

 朝鮮側は、米国側のCVID(検証可能かつ不可逆的な形での核の完全廃棄)撤回を前提に核凍結を約束。凍結には製造、移転、実験も含まれるとした。

 これに対し米国側は、ウラニウム濃縮計画と平和利用を含めた全ての核を対象に「検証可能な完全廃棄」を求めた。廃棄合意後、3カ月の準備期間を経て核を公開、封印するよう求め、ほかの4カ国による重油提供を妨げないとした。

 米国が検証可能な核廃棄に向けた準備が整ったと判断した段階で、非核エネルギーの開発支援、暫定的な安全保障など4項目について協議を開始。廃棄が進めば最終的には朝米国交正常化などの協議も可能とした(朝日新聞21日付)。

 また、南側は6者会談再開決定直後の12日、「北が核放棄に合意すれば、200万キロワットの電力を直接提供する」との「重大提案」を公表した。6月17日に鄭東泳・統一部長官と面談した際、金正日総書記はこの提案に対し、「慎重に研究して回答する」と述べたという。

 一方、前述の労働新聞18日付は、朝鮮に一方的な核放棄を強要してはならないと主張。そうなればむしろ核危機を激化させることになると警告している。「米国がわれわれの制度を認め尊重し核脅威と『制度転覆』政策を放棄するなら、同時に自分がやるべきことをやる」(労働新聞11日付)というわけだ。

条件整えば核放棄

 では、朝鮮側は実際に核を放棄するのか。

 金正日総書記は「6.17面談」で、朝鮮半島の非核化は金日成主席の遺訓であり、「朝鮮半島の非核化共同宣言」が有効であると指摘。「核問題が解決されれば核拡散防止条約(NPT)に復帰し、国際原子力機関(IAEA)の査察を含めたすべての国際査察を受け入れ、徹底的に検証を受ける用意がある。一つも残す理由はない。すべてを公開してもよい」と述べた。

 第15回北南閣僚級会談でも、北側は「米国がわれわれに友好的に接すれば、一発の核兵器も持たない」と言明した。

 労働新聞11日付は、「われわれは核兵器を永遠に持とうというわけではない。われわれに対する米国の核脅威が除去され、『制度転覆』を狙った敵視政策が撤回されれば、われわれは一発の核兵器も必要なくなる」と指摘した。

 朝鮮側は条件さえ整えば核を放棄することを明確にしている。カギを握るのは米国。朝鮮側がここへ来て強調しているのは、朝米が互いに共存する立場、尊重し信頼する意思を持とうということだ。そういう意味で米国の対応を見極める会談となることが予想される。

進展望む参加国

 6者会談は果たして進展するのか。

 金正日総書記は13日、中国の胡錦涛主席の特別代表である唐家璇国務委員と会見した際、「6者会談で積極的な進展があることを期待する」と述べた。

 金桂官外務次官は、6月に訪朝したEU議員団との会見で、「儀礼的な会談ではなく実質的な結果を望む」として、「一括妥結、同時行動原則」について強調したという。

 南の潘基文外交通商部長官も、「参加国との真しで本格的な交渉を通じて核問題解決の実質的進展をもたらすよう事前準備をしている」と語った。

 実質的でマクロ的な交渉過程を持つためにも、会期を延長する可能性があることも示唆した。

 明日からの会談では、会期は定められていない。しかも、会談の進展を望む点では参加国の見解は一致している。

 朝鮮外務省スポークスマンは22日の談話で、「朝鮮半島で平和体制樹立過程が成果裏に推進すれば、再開される6者会談のプロセスをも決定的に推し進めることになる」として、停戦体制の平和体制への転換を求めた。(文聖姫記者)

第3回会談までの朝米双方の主張

  朝  鮮 米  国
第1回
(03年8月)
・朝鮮半島の非核化は総体的目標
・核問題の平和的解決には対朝鮮敵視政策転換必要
・敵視しない判断の基準は、不可侵条約を締結、外交関係が樹立され、他国との経済取引を妨害しなくなったとき
・安全保障ではなく法的な拘束力持つ不可侵条約要求
・いかなるウラニウム濃縮計画もない
・核問題解決は一括妥結、同時行動で
・核兵器計画の検証可能かつ不可逆的な放棄(CVID)優先
・そのあとに安全保障、政治・経済的恩恵論議
・核計画放棄後に関係正常化を目標としたミサイル、通常兵器、偽造貨幣、麻薬、テロ、人権、拉致の問題に関する2者対話
・不可侵条約には興味なし
第2回
(04年2月)
・朝鮮半島の非核化目標にした同時一括妥結案に沿って透明性ある核放棄の意思表明
・同時行動の第1段階として「凍結対補償」提案
・検証可能で不可逆的な形で核放棄してこそ、朝鮮側の憂慮事項について論議可能
・すべての核兵器放棄後もミサイル、通常兵器、生物化学兵器、人権などの問題解決がないかぎり、関係正常化は不可能
第3回
(04年6月)
・CVID要求撤回を前提に核凍結
・核凍結には、核兵器をこれ以上造ったり、移転したり、実験したりしないことを含む
・査察対象は寧辺の核施設、8000本の使用済み燃料棒の再処理で生産されたプルトニウム
・凍結時期は代価が支払われたとき。検証方法は6者の枠内で論議
・「凍結対補償」提案に留意、慎重に検討
・朝鮮が3カ月の準備期間をおいて核凍結実施
・凍結の相応の措置として、南、中、ロ、日が重油提供
・米国は暫定的な安全保障提供、「テロ支援国家」および経済制裁解除のための協議開始

6者会談をめぐる最近の動き

[朝鮮新報 2005.7.25]