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第15回北南閣僚級会談 何が決まったのか?

 13カ月ぶりにソウルで開かれた第15回北南閣僚級会談。北と南が夜を徹して合意文作成に奮闘した従来とは異なり、会談も報道文作成も早いペースで進められた。12項目からなる共同報道文の前文で、北南双方は「わが民族同士」で問題を解決していくことを確認した。今回の会談で何が決まったのか。(文聖姫記者)

−民族共同の課題

8.15に当局代表団 歴史問題で対日共同歩調

李海瓉総理主催の晩さん会で乾杯する双方代表ら(6月23日)

 まず、民族共同の課題と共同行事について合意した。

 北と南は8.15祖国光復60周年に際して南側で開かれる民族共同行事に当局代表団を派遣する。

 閣僚級会談で北側団長の権浩雄内閣責任参事は「重みのある当局代表団」派遣の立場を明かしたが、これはすでに6月17日、金正日総書記が盧武鉉大統領特使として鄭東泳・統一部長官と会見した際、約束していた。

 「重みのある代表団」がどのクラスになるのかは、今のところ定かではない。6.15共同宣言5周年民族統一大祝典では、北側当局代表団団長は金己男・祖国平和統一委員会副委員長(党書記)だった。

 歴史問題と関連して対日共同歩調を取ることでも合意。朝鮮を実質的に植民地支配するきっかけとなった「乙巳五条約」の無効を確認したことなどがそれ。

−核問題

非核化を最終目標に 「解決すれば核持つ理由ない」

 核問題では、朝鮮半島の非核化が最終目標であることを確認した。「6.17面談」で総書記は、非核化が金日成主席の遺訓であること、91年に採択された「朝鮮半島の非核化共同宣言」が依然有効であることを強調した。今回の合意はこの発言が基礎になっている。「核問題に対する最も権威ある言及は金正日委員長の言及」(金千植、統一部交流協力局長)だと南側も指摘している。

 閣僚級会談南側代表団スポークスマンの金局長は記者会見で、報道文2項の「朝鮮半島の非核化を最終目標とし、雰囲気が整うに従い」の意味について、「6者会談が再開され関連事案を協議し状況がよくなって順調に進む状況」だと語った。「そうなれば核の廃棄など実質的措置を取っていこうとの合意」だと述べた。

 一方、北側は今回の会談で「米国がわれわれに友好的に接すれば、一発の核兵器も持たない」と指摘。「6.17面談」でも総書記は、核問題が解決されれば徹底的に検証を受け、(核を)一つも残す理由はないと主張していた。

−多面的な経済協力

食糧提供が報道文に 農業、水産でも協力推進

 経済協力に関する合意も多面的だ。なかでも、食糧提供が報道文に盛り込まれたのは初めて。北側は例年水準の食糧借款を要求したが、鄭統一部長官は6月27日、50万トンであると明らかにした。

 次官級を委員長とする農業協力委員会、水産協力分科も構成される。西海上での平和保障推進を主な目的とする水産協力分科は、例年ワタリ蟹漁の時期になると起きていた西海衝突を防ぐ意味が大きい。軍事当局者会談の再開とも絡めて今後が注目される。

 こうした問題を話し合う経済協力委員会の次回開催日程が決まったことも、とくに南側では意義を付与している。

−人道問題

離散家族、画像対面 金剛山面会所も着工決まる

 人道問題では、まず離散家族問題。8月15日から試験的に「画像による対面」が始まる。「6.17面談」で鄭統一部長官が提案したものだが、総書記も「とても興味深い提案」と応じていた。中断していた金剛山面会所設置も着工、離散家族再会の日取りも決まった。

 戦争時に生死のわからなくなった人たちの生死確認などを協議する赤十字会談開催も、南側の求めに北側が応じたものといえる。

−軍事当局者会談

白頭山での開催決定 西海地域の平和定着実現へ

 軍事当局者会談は日程こそ決まらなかったものの、場所は白頭山に決まった。

 総書記は鄭長官に、「将官級軍事会談を再開し西海地域での平和定着を実現させるべきだ」「陸地では道をつなぎ、鉄道も連結し、開城工団も作り互いに協力している。なのに境界線も不明な海で互いに撃ち合う理由はない」と語った。

 総書記自ら会談再開の意義を語っているだけに、今回は開催が決まったこと自体に意味がある。日程については双方軍事当局に委ねられる。

「新たな会談文化」を実践 実質的進展もたらした「円卓」

 これまでの会談では机を平行に並べ双方が対峙するかのように席が設けられていたのが、今回は円卓形式をとった。「対決ではなく和合を指向する願い」(鄭長官)から設置されたこの円卓方式が、今回の会談のすべてを象徴していたといえる。

 「会談文化を積極的に改善し、実質的な北南協力方案を論議しよう」(総書記)との考えを実践する初めての試みだったからだ。

 次回のみならず、次々回の閣僚級会談の日程、場所が共同報道文に明記されたのは初めて。これは会談の定例化を示唆するもので、会談が互いの意見を押し付ける論争の場でなく、合意を積み重ねていく実質的な場になったことを意味する。

 「会談方式においても、内容においても、今回の会談のように新しく実質的な進展をもたらしたことはなかった」(権団長)

北南閣僚級会談共同報道文骨子

[朝鮮新報 2005.6.30]