朝鮮外務省備忘録(全文) |
朝鮮民主主義人民共和国外務省は2日、われわれがなぜ6者会談の参加名分と条件がもたらされてこそ、会談に臨むのかということを明らかにする備忘録を発表した。その全文は次のとおり。 現在、国際社会は、朝米間の核問題に関連してわれわれが取った正当な自衛的措置と6者会談に関する原則的な立場に支持と連帯の声をいっそう高めている。 しかし、これとは反対に、米国はわれわれが「前提条件なしに6者会談に臨むべきだ」と主張してわれわれの正当な要求に背を向けており、一部の追従勢力は「米国が穏やかな態度を示したのに、あまりにも強硬に反応した」だの、われわれが「国際的義務に違反した」だの、「6者会談再開のため圧力を加えるべきだ」だのという一連の不純な世論を引き続き流布している。 6者会談がいまだに再開されずに朝米間の核問題の解決が遅延しているのは、徹頭徹尾、米国のせいである。 朝鮮民主主義人民共和国外務省は、われわれがなぜ6者会談の参加名分と条件がもたらされてこそ、会談に臨むとのかいうことについて明白にするため備忘録を発表する。 1、われわれには、6者会談であれ、朝米双務会談であれ、米国と対座するいかなる名分もない 朝米間の核問題は、ブッシュ政権の極端な敵視政策の所産であり、その解決のカギは米国が敵視政策を朝米平和共存政策に転換するところにある。 第2期ブッシュ政権は、第1期と同様、われわれとは共存せず、朝鮮人民が選択した制度を「転覆」させるということを政策として定立することにより、われわれが6者会談に参加する名分をすべてなくしてしまった。 ブッシュ政権は、口ではわれわれを敵視していないし、侵攻の意志もないと公言しているが、実際はわれわれの「制度転覆」を「究極的目標」に定め、その実現のために強硬と宥和を合わせた2面策に執着している。 これらすべては、第2期ブッシュ政権の政策定立過程にはっきり表れた。 さる1月20日、第2期大統領就任式で演説したブッシュは「われわれの世界で暴圧政治に終止符を打つことが最終目標」であると宣言し、米国式「自由と民主主義を全世界に拡大」し、そのために「必要なら軍事力の行使」も排除しないと公言した。 そして、ブッシュは2月2日の「一般教書演説」でも6者会談や核問題の平和的解決については一言も言及せず、われわれの「核兵器の野心を放棄させる」と公言し、「暴圧政治の終息」について再度力説した。 彼が言った「暴圧政治の終息」の対象が果たして誰であるのかは、国務長官のライスが大統領就任演説の2日前である1月18日、米議会上院の指名承認公聴会で明らかにした。 ライスは、キューバ、イラン、ベラルーシなど主に反米・自主志向の強い一連の国と共にわが国を「暴圧政治の前哨基地」と名指し、「米国は暴圧政治の下にいる人民の側」におり、米国式「自由と民主主義を拡大」して「北朝鮮が核兵器の野心を放棄するよう要求」すると唱えた。 これに関連して一部からは、ブッシュが朝鮮を「暴圧政治」の国だと直接名指ししていない、ライスは個人の資格で言っただけで彼女の演説を全般的な脈絡から考察してほしいなどと苦しい弁解の言葉も出た。 ならば、米国務長官の政策表明が果たして個人的な発言であり、ブッシュがわれわれを「暴政」の対象と規定していないと言えるのか。 ブッシュは、すでに第1期の2003年11月6日、「米国国立民主主義基金」創立20周年記念式で米国式「民主主義に対する公約が暴圧の前哨基地であるキューバ、ミャンマー、北朝鮮、ジンバブエなどで試されている」とけん伝し、われわれを明白に「暴圧政治の前哨基地」と規定した。 われわれとは決して平和的に共存せず、「武装解除」を通じてわれわれの「制度転覆」をあくまでも追求するという米国の本音は根深いもので一度も変わっていない。 米国の公式人物らが最近行った発言のどこからも、われわれとの共存や敵視政策の変更に対する表現は見られない。 現在、世界の人々はブッシュ勢力の「自由拡大論」に対して「世界を騒乱に陥れる逆説」「世界を新たな戦争へと後押しする悪説」と評しており、ひいては米国の同盟国までも米国式「自由と民主主義」うんぬんに対し、「米国の言う暴政が果たしてどこにあるのか。米国は… ひたすら自分らの気に障る一連の反米的な国だけを名指しして、『暴政の前哨基地』とけん伝している」「米国は自分をこの惑星の主人として描写している」とちょう笑、非難している。 事実上、われわれはブッシュ政権発足後のこの4年間、我慢するだけ我慢し、雅量を見せるだけ示してきた。 しかし、米国は理念的にわれわれと共存できないという体質的拒否感から対話の相手であるわれわれを無視し、敵視政策だけを貫いてきた。 ブッシュが大統領に就任するなり、前政権が行っていたわれわれとのすべての対話と協議を中断し、2002年1月末に発表した「一般教書演説」でわが国を「悪の枢軸」と規定し、その年の3月には「核先制攻撃対象」として名指ししたのは周知の事実である。 今回、彼は「悪の枢軸」の発言を取り消す代わりに、これを越えて朝鮮人民が建てた政権を「暴政の前哨基地」「最終的に除去すべき対象」と規定した。 このように、米国によって国家主権自体を否定されたわれわれが、どんな名分で米国と対座して会談することができようか。米国も、彼ら自身が犯した罪によってわれわれと対座する名分を自ら失った。 われわれは、米国と交戦関係、技術的には戦争状態にある。 従って、核兵器を振り回してわれわれを先制打撃するというブッシュ政権の政策企図に立ち向かって正当防衛のためにわれわれが核兵器を製造し、また製造していくのは至極当然のことである。 われわれは、米国の核圧殺政策に対処して自衛のために2003年1月10日、核拡散防止条約(NPT)から脱退し、国際条約の外で正々堂々と核兵器を製造した。 われわれは、米国の増大する孤立、圧殺政策に対処する自衛的措置を取る度に毎回世に公開し、米国側にも適時に通知して透明性があるように核抑止力を備えた。 ミサイル問題でもわれわれは、国際条約やいかなる国際法的拘束も受けていない。 一部では、あたかもわれわれのミサイル発射の保留措置が現在も有効であるかのようにけん伝している。 われわれは、前の米政権の時期である1999年9月、「対話が行われる期間、ミサイル発射の臨時中断」措置を発表したが、2001年、ブッシュ政権の発足に伴い、朝米間の対話は全面的に遮断された。従って、われわれはミサイル発射の保留においても現在、いかなる拘束力も受けていない。 周知のように、われわれをして自衛的核兵器庫を強化せざるを得なくしているのは、まさに米国の対朝鮮敵視政策である。 米国内ではもちろん、全般的国際世論はまさにブッシュ政権の朝鮮に対する「暴圧政治」の発言と敵対的政策によって「6者会談流会」の結果が招かれたということに焦点を合わせて非難の声を高めている。 2004年の米大統領選挙の際、民主党の大統領候補として出馬した上院議員のケリーは9月12日、米国のニューヨーク・タイムズ紙との会見で「ブッシュ政権執権後、北朝鮮と直接相対することを拒絶したことにより、核の悪夢が起こるようにした」と公に非難し、米国の国際政治問題研究所機関紙「フォーリン・ポリシー・イン・フォーカス」は2005年2月22日付の論説で、「ブッシュは執権初期から北朝鮮に軍事的、外交的に極めて荒っぽく接してきたので結局、北朝鮮を核保有国にした」と明らかにした。 ニューヨーク・タイムズ紙は2005年2月11日付の社説で、「北朝鮮の核保有宣言はブッシュ政権が北朝鮮を孤立へ追い込みながら失策を犯したからである。これまで北朝鮮に対するブッシュ政権の対応は非理性的であったし、従って、今後の接近策において根本的変化がなければならない」と批判した。 米国は、こんにちまでもわれわれを「敵視していない」「攻撃する意図はない」という空言ばかり繰り返しながら、あたかも自分らは敵視政策を実施していないかのように見せかけようとしている。 人民が選択したわれわれの制度を「暴政」だと罵倒し、「最終的に除去」するということ以上に敵対的なことがどこにあるのか。元々、「侵攻する意志はない」という言葉自体が他国の政権を転覆し、侵攻することをためらわない米国ならではの図々しい発言であり、このような荒っぽい言葉が敵視政策の放棄になるはずがない。 それゆえ、ワシントン・ポスト紙は2005年2月22日付の社説で、「平壌政府に『敵対意図はない』という言葉だけを用いても、核問題の解決に突破口が開かれるかも知れないのに、ブッシュとライスはそのような表現を一度も使わなかった」と暴露し、まさに敵視政策の変更いかんが基本であることを強調した。 米国が政策を変更し、われわれと共存しようとする政治的意志がない限り、核問題はいつになっても絶対に解決されない。 われわれは、ブッシュ政権発足後のこの4年間、核問題も解決し、朝米関係を改善するために我慢するだけ我慢したし、雅量を示せるだけ示してきた。 米国は当然、「暴政の終息」発言について謝罪し、この発言を取り消すべきであり、われわれの「制度転覆」を狙う敵視政策を放棄し、平和共存の政治的意志を明白にすべきであり、それを実践の行動で示さなければならない。 このように、米国が会談開催の条件と名分をもたらしてこそ、われわれは米国と対座して会談を行うことができるのである。 われわれを全面否定し、「打倒」するという相手が会談の参加を求めるからといってそれに応じるのは愚か者がすることである。 2、米国は一日も早く6者会談の基礎を修復し、会談開催条件と雰囲気を作るべきである 朝鮮半島の非核化を実現しようとするわれわれの真しかつねばり強い努力によって2004年6月、第3回6者会談では「言葉対言葉」「行動対行動」の原則と核問題の解決に向けた第1段階の措置である「凍結対補償」の原則が合意された。 そして、米国がわれわれに対する敵視政策を変更すべきであるという共通の認識がなされた。このような合意と共通の認識は、6者会談を前進させることのできる基礎である。 米国代表団も、第3回6者会談で内外の世論に屈して仕方なくこのような原則に合意し、われわれに対して「敵視しない」ということについて、言葉上ではあるが約束せざるを得なかった。 2004年6月24日、ケリー次官補は6者会談の場で「朝鮮側の『凍結対補償』案を評価し、慎重に検討」すると言い、国務長官パウエルも2004年7月2日、インドネシアのジャカルタで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚級会議の際、朝鮮外相との接触で「米国は『言葉対言葉』『行動対行動』『結果対結果』の原則を守っていく準備ができており、朝鮮の『凍結対補償』提案を慎重に検討する」と約束したことがある。 しかし、米国は会談が終わってから1カ月も経たないうちに、これらすべての合意と共通の認識をひっくり返し、会談の基礎を完全に破壊してしまった。 第2期ブッシュ政権は、第1期の時に6者会談のすべての基礎を自分らが破壊しておきながら、その復旧を求めるわれわれの要求に背を向けたまま、「前提条件なしの6者会談再開」について唱えている。 6者会談の米国側団長である国務省のケリー次官補は2004年7月15日、米議会上院の公聴会で「米国が第3回6者会談で打ち出した『前向きの提案』は、朝鮮が先にすべての核計画を完全に廃棄した後になってこそ、恩恵が与えられる提案である」「核放棄が実現されるとしても、それがすなわち関係正常化へとつながるものではなく、ミサイルと通常戦力、人権などその他の問題がすべて解決されるべきである」と米国の「先核放棄」主張に固執して、「言葉対言葉」「行動対行動」の原則を否定した。 また、「米国は北朝鮮の人々と交渉する意図がない。北朝鮮に対する補償などありえないし、米国はいかなる方式でも北朝鮮に利得を与えない」と公言して、「凍結対補償」の原則まで全面拒否してしまった。 ケリー次官補の公開発言があってから1週間過ぎた2004年7月21日、ソウルを訪問した米国務省次官のボルトンは、「米国は核凍結案を信用していない。核計画を完全に放棄すべきだというワシントンの要求条件が貫徹されない限り、平壌に対する補償はない」と言い、7月23日、東京で行った記者会見では、「北朝鮮はリビア式に核計画を放棄すべきだ」と公言した。 米国務長官も数回の記者会見で、「平壌がリビア式に倣うことを願う」と言って「先核放棄」を主張し、米国務副長官のアーミテージは、「米国が北朝鮮に象徴的であれ肯定的なジェスチャーを取れば、ならずもの行為に補償金を支払うことに、北朝鮮に誤った信号を送ることになる」と言った。実に、会談場の内と外であまりにも相反する行動を取っている米国側の振る舞いは世界の人々をあ然とさせた。 ブッシュ政権は、第2期に入っても「完全かつ検証可能で、後戻りできない核廃棄」(CVID)による「先核放棄」主張に引き続き固執し、会談の条件をもたらすため信頼できる誠意を示すいかなる行動も取っていない。 2005年2月22日、米国務省の報道官は5者は会談の条件がすべて整ったと見なしているが、「唯一、北朝鮮だけがこの条件が整っていないと主張している」とし、国務長官のライスは2005年2月3日の記者会見で、「6者会談のすべての参加国が会談で北朝鮮の人々に核兵器計画を検証可能で後戻りできないよう放棄する戦略的選択をすべきだということを言い聞かせるべきだ」と言った。 同日、国務省の報道官は「第3回6者会談で米国が打ち出した提案は有効であり、北朝鮮はそれを論議するため会談の場に復帰すべき時点」であると言った。 第3回6者会談で米国側が打ち出した「提案」は本質上、「前向き」という風呂敷で包んだ「先核放棄」主張であって、米国も受け入れた「言葉対言葉」「行動対行動」の原則が全く反映されておらず、とくに米国の敵視政策の放棄に対する公約には何も言及されていなかったのでわれわれは2004年7月24日、外務省のスポークスマンを通じて一顧の価値もない「提案」として一蹴したのである。 その後、2004年8月11日に行われたニューヨーク朝米接触の機会に、われわれのこのような立場が米国側に公式に伝えられた。 ブッシュ政権は、第3回6者会談でもわれわれに対して「敵視しない」と言っておきながら、その一方でわれわれの制度転覆を狙った敵視行為をはばかることなくいっそう悪らつに強行した。 第3回6者会談が終わってから1カ月もならない2004年7月21日、米議会が「北朝鮮人権法」を通過させたことにより、「制度転覆」を財政的、物質的に裏付ける立法化行為が強行された。 「北朝鮮人権法」によって米議会は、朝鮮の内部に小型ラジオを大量にばらまき、「自由アジア放送」の時間を12時間に増やすのに毎年、200万ドルを割り当てることをはじめ、「自由化の風」と「人権改善」を後援する個人、団体に毎年、2400万ドルの資金を割り当てることになっている。 2004年10月21日、ホワイトハウスの報道官は、「ブッシュ大統領が署名した『北朝鮮人権法』は北朝鮮政権を脱出する人々に焦点を合わせる」と公言した。 このような「北朝鮮人権法」の本質について「米国の声放送」(VOA)までも、「毎年2400万ドルの限度内で政府の公式予算を初めて投入する米国の立場から見れば、これから北朝鮮政権を核と人権という2つの側面から圧力をかける枠組みをもたらしたという意味がある。『北朝鮮人権法』は、『脱北者保護』の名分のもと、『北朝鮮の体制崩壊を図る戦略』」であると自ら暴露した。 フランス議会下院外交委員会のメンバーであるジョルズ・ハズ下院議員は2005年2月15日、フランス外相に送った公開質問書で、「朝鮮問題を考察して見れば、朝鮮の自主権が常時蹂躙されてきたことが分かる。米議会は、平壌政府を瓦解させるため毎年、2400万ドルを支出するという法案を通過させた」とありのままに述べている。 また、米国は第4回6者会談を準備していた2004年8月初、ノルウェーで行われた「拡散防止構想」(PSI)加盟国の実務会議で10月26日から27日の間に日本の沖合いで海上封鎖訓練を行うことについて決定した。 そして、この訓練がわれわれを狙ったものであるということについて隠さなかった。 米国務長官は、訓練を3日後に控えた10月23日、東京に到着して「PSI訓練は北朝鮮に対する国際社会の憂慮の表れであり、ならずもの行為を遮断するための訓練」であると公言したのである。 続いて、訓練の当日、米国務省次官のボルトンは戦闘艦船に乗って「北朝鮮の脅威は明白である。訓練は、北朝鮮など兵器拡散に関与する国との貿易取引に誘惑されかねない企業をしてそのような考えを捨てるようにする有効な手段である。北太平洋で行う初の訓練であるので、きわめて意義が大きい」とし、PSI訓練がまさにわれわれを狙った訓練であると公言した。 米国の軍事的威嚇策動はこれにとどまらなかった。 第3回6者会談が終わって間もない2004年6月29日、米国防総省は3カ月内に米空軍のF117ステルス戦闘爆撃機3個大隊を南朝鮮に配備すると発表し、その配備を始めた。そして、最先端ミサイルシステムで装備されたイージス駆逐艦2隻を朝鮮東海に常時配備することを公式に発表し、実戦配備した。 すでに、われわれを「核先制攻撃対象のリスト」に載せたブッシュ政権は、2004年に入り、「新作戦計画5026」「作戦計画5027−04」の作成を公開して南朝鮮に対する膨大な武力増強に拍車をかけてきたのである。 2003年5月、南朝鮮に対する110億ドルの資金投資を見越す「戦力増強計画」を発表した米国は、2004年の中旬に入っては「戦力再配備」の美名のもと、その資金を130億ドルに増やして最新戦争装備を大々的に納入し始めた。 とりわけ重大なのは、米国がわれわれの地下施設を破壊するための新型地下貫通ミサイルを南朝鮮駐屯米軍に先に供給すると言ったことであった。 これについて米軍事専門週刊誌の「ディフェンス・ニュース」(2004年7月12日号)が、米国は2005年の末までバンカー・バスター地下貫通ミサイル6基を配備することにしたと暴露した。 ブッシュ政権は、対話の相手に対する悪口を引き続き並べ立て、各方面からわれわれに言いがかりをつけながら心理謀略戦に執着し続けた。 米国は、ありもしない「麻薬密売」「人身売買」「宗教的弾圧」などについて念仏のように繰り返しながら毎年、報告書なるものを作成、発表してわれわれに言いがかりをつけており、今や「核物質移転説」まで考案して対話のムードに水を差している。 米国は、われわれがイランに六フッ化ウランとフッ素ガスを密売しただの、核発電所用特殊電動機を供与しようとしているだの、パキスタン経由でリビアに核物質を渡しただのというねつ造資料も数回にわたって流布させた。 これは、われわれを「核拡散者」に仕立ててわれわれのイメージを傷つけ、国際的な圧力ムードをつくり出そうとすること以外の何物でもない。 われわれは、イランであれ、リビアであれ、どの国とも核分野においてはいかなる取引を行ったことがない。 米国の主なマスコミも、「米国の調査メンバーは北朝鮮の核物質サンプルがないので北朝鮮のものと推定されるリビアの核物質容器内の中身の出所を明かす方途はないと認め、米国の専門家たちは六フッ化ウランのサンプルの分析はDNA(デオキシリボ核酸)検査と異なるので確定的な結論を下すのは難しいとの疑惑を表した」と米国の不純な企図を暴露した。 このように米国は、われわれに対する政治的、外交的圧力と軍事的威嚇を引き続き増大させる一方、われわれに「条件が整ったので、6者会談の場に早く出るべきだ」というあまりにも鉄面皮な要求をしている。これは、さる18〜19世紀に小国を占領するために繰り広げた大国の「砲艦外交」をほうふつさせている。 このような軍事的圧力を加えるからといって、われわれが会談の場に出るものと考えること自体が愚の骨頂である。米国のこれらすべての行為は明白に、われわれに対する敵視政策のはっきりした表れである。 米国が敵視政策を放棄し、会談の基礎を復旧せよというわれわれの要求は「前提条件」ではない。ブッシュ政権が第3回6者会談の基礎を復旧する何の行動措置も講じていないのに、日時が経ったからといって会談の条件が自ずと整ったというのか。 また、わが人民が選択した思想と制度、朝鮮式の自由と民主主義を全面否定し、「制度転覆」のための敵対的行為をいっそう露骨にしているのに、会談の条件が整ったというのは途方もないことである。 諸般の事実は、米国が当初から6者会談を通じた朝米核問題の解決には関心がなく、会談を結果を得ることなく適当に続けながら時間稼ぎをし、われわれに対する段階別圧力と孤立、封鎖を実現するための環境をもたらす目的を追求しているということを実証している。 前政権で、対朝鮮交渉担当特使であったガルーチは2004年6月18日、共同通信とのインタビューで「ブッシュ政権は北朝鮮の『体制変化』を目標としており、本格的な交渉を願っていない」と批判した。 「フォーリン・ポリシー・イン・フォーカス」は2005年2月22日付の論説で、「ブッシュは平壌政権のない世界について公に言明し、平壌政権の交替を終着点とする6者会談を行ってきた。これがまさにブッシュが追求している戦略である」と暴いた。 米国が追求している不純な目的は、ありもしないわれわれの「ウラン濃縮計画」に執ように食い下がりながらも、自国の黙認、助長のもとで計画的に推進されてきた南朝鮮の秘密核活動については必死になってかばっていることを通じてもよくわかる。 「ウラン濃縮計画」について言えば、われわれにはそのような計画がない。 米国が会談の基礎を復旧しようとする何の誠意と努力もせず、対話を通じた核問題の平和的解決と会談の再開をうんぬんするのは、責任回避の逃げ口上に過ぎない。 米国が心から対話を通じた朝米核問題の解決を願うなら、一方的に破壊した会談の基礎を当然復旧し、われわれの「制度転覆」を目標とする敵視政策を実践の行動で放棄し、われわれと共存する方向に進むべきである。われわれの要求は、米国が政策を転換することである。 ブッシュ政権が政策転換の意志はなく、われわれにやみくもに6者会談に応じることを求めるのは、他でもなくわれわれを「被告席」に座らせて「核武装の解除」を実現し、しまいには軍事的に併どんしようとする術策である。 ブッシュは2004年8月18日、ウィスコンシン州で繰り広げた選挙の遊説をはじめ多くの機会にわれわれの「武装解除」について公言した。 このように米国の本音が見え透いているのに、われわれが手間をかけて造った核兵器をただで捨てると考えること自体が誤算である。 われわれは、2004年8月23日の外務省スポークスマンの回答をはじめ数回にわたって「武装解除」のようなことは夢にも思ってはならないという立場を明白にしてきた。 これについてしっかり憶えておく方が良かろう。 最近、日本は米国に追従して「無条件的な会談への復帰」だの、「制裁」だの、何だのとうんぬんしながら無分別に振る舞っている。 元々、日本は米国の徹底した手下であり、6者会談に参加する資格もない。 自分の上司と見なす米国が会談に参加すればそれで済むのに、その手下まで会談に参加する必要があろうか。そのような日本がせん越にもわれわれに対する「制裁の発動」を企んでいるが、われわれは日本の企図に対しても綿密に注視している。 朝鮮半島の非核化目標を堅持し、対話と交渉を通じて核問題を平和的に解決しようとするわれわれの原則的な立場には、依然として変わりがない。 米国が信頼できる誠意を示して行動し、6者会談開催の条件と名分をもたらすなら、われわれはいつでも会談に臨むであろう。 われわれの正当な要求にもかかわらず、ブッシュ政権がいかなる誠意も示さずに「6者会談の再開」だの、何だのと対話をうんぬんして時間稼ぎをしようとしてもわれわれに不利なものはない。 これまでブッシュ政権がわれわれの「制度転覆」を狙った対朝鮮敵視政策をいっそう露骨化して6者会談の基礎を破壊し、対話の条件と名分をすべてなくしてしまうことで核問題解決の道を阻んだ行為は、必ず歴史に記録されるであろうし、米国はそれに対する当然の代価を支払うことになるであろう。(朝鮮通信) [朝鮮新報 2005.3.11] |