top_rogo.gif (16396 bytes)

「2005年迎春の集い」参加 在日朝鮮学生少年芸術団

 【平壌発=李松鶴記者】既報のように、平壌で大晦日に行われた「2005年迎春の集い」に参加した在日朝鮮学生少年芸術団。その後も午前の部、午後の部と一日2回行われている市内の公演スケジュールを朝鮮の生徒らとともにこなしている。各地の朝鮮学校から集まっただけに、当初はそれぞれが緊張気味だったが、今では一つの家族のように過ごしている。

「何の不自由もなかった」

平壌体育館で公演する在日朝鮮学生少年芸術団

 「練習の過程で公演メンバーから振り落とされるほど、祖国の生徒たちのレベルは高い。そんな場に参加できたことのすごさを実感した」

 京都朝鮮中高級学校中級部2年の鄭佳耶さんはこのように述べながら、公演と練習について振り返った。

 彼女は、公演では新潟で被災した姉妹の姉役を演じている。「ミュージカルみたいに台詞と動作を一緒に覚えなくてはいけないので、大変だった。感情の移入も、『実際に自分の家が地震にあって父母が苦労していたら、どんな心境だろう』と仮想して演じたりした」。

 一方、妹役の厳美花さん(尼崎朝鮮初中級学校初級部6年)は、「練習の過程で主人公に抜擢されたので、びっくりした。電話でオモニにそのことを話したが、全然信じてくれなかった。これまで祖国の先生に動作を教えてもらったり、移動中は紙に書いた台詞を覚えたりと大変だったけど、とても充実している」と顔をほころばせた。

出演を目前にして

 1カ月以上、親元を離れて生活している彼女たちだが、「身の回りの世話をしてくれるフロアのオモニたちが、本当のオモニのように面倒を見てくれる。ホテルの従業員や公演のスタッフもみな親切なので安心」(鄭佳耶さん)、「日本は朝鮮のことを悪く言っているので、日本から来た私たちも冷たくされると心配してたけど、祖国の人々は私たちを大歓迎してくれた」(厳美花さん)と話す。

 日本に戻ったら、「日本にいても祖国にいても、私たち在日の生徒たちは祖国の愛を一身に受けていることを伝えたい」(鄭佳耶さん)、「平壌にいる間、何の不自由もなかったということと、公演は大成功だったということを何よりも先に言いたい」(厳美花さん)そうだ。

「もっと祖国にいたい」

 祖国を訪問してから1カ月以上練習を積み重ね、公演を成功させる過程で、生徒たちは着実に成長しているという。

平壌市内でたこあげをする生徒ら

 金鐘成団長(東大阪朝鮮初級学校校長)は、「生徒たちは祖国に来て、日本での朝鮮に対する報道がいかにわい曲されたものであるのかということを一番強く感じている。今回の芸術団は、朝鮮に到着するまでの日程のハードさや規模からしても多くの困難があった。しかし、引率の教員らが心を一つにするとともに、生徒らも公演を成功させるという一つの目的に向かって団結したこともあって、実りの大きいものになった」と振り返る。

 芸術団の総務を担当した東京朝鮮中高級学校中級部の愼基成副主任も、「162人の生徒と引率の教員、祖国のスタッフを合わせると、およそ200人。この200人が一つの家族になって公演を成功させようとがんばってきた」と話しながら、「生徒たちは2回に分けて飛行機で日本に戻るが、先に祖国を発つ生徒たちから『なぜ自分たちが先に帰るんですか。もっといさせてください』と言われる」と語った。

 平壌滞在中、初級部と中級部の生徒たちが1人ずつ同じ部屋で生活し、中級部の生徒が初級部の生徒の面倒をみた。こうした過程で生徒たちは本当の兄弟姉妹のように仲がよくなったそうだ。

 「生徒たちそれぞれに公演での役はあるが、162人みんなが主人公だと思ってがんばってきた。その結果、みんなが心を一つにして公演を成功に導けた」(金鐘成団長)

 芸術団は、市内での9日午前の部の公演まで出演。その後は祖国の生徒との交流会や平壌市内、妙香山を参観し15日と19日、それぞれ朝鮮を発つ予定だ。

[朝鮮新報 2005.1.11]